少子化時代の課題「優秀な若手人材の獲得」

人口動態の問題として日本や欧米はもとより中国など東アジアでも、少子化が進んでいます。世界的な現象として、ミレニアル世代を含めた次世代の人材―しかも潜在能力が高くイノベーティブな力を持った人材の獲得が企業の生き残りをかけた最重要課題になっているのは間違いありません。女性だけでなく、男性も含めた次世代の優秀な人材を獲得し、自社のために能力を発揮してもらうには、企業としても職場の環境、制度、マネージメント、企業イメージから経営陣の意識にいたるまで、旧来の価値観を大きく転換する必要があるのです。

というのも、「ミレニアル世代」は、私たち前世代とは違ういくつかの特徴を持っています。その一つが、生まれた時からパソコンやスマートフォンが身近にある「デジタル・ネイティブ」であることがあげられるでしょう。インターネットやSNSを日常的に駆使している彼らは、先端技術と親和性が高く、情報リテラシーにも長けています。

組織への忠誠より個人の幸せを優先する世代

私たちが学業を終えて就職先をどこにしようか選ぶときには、情報源となるのは企業が配るパンフレットや大学のOB・OGなどの体験談しかありませんでした。給与や制度、福利厚生についても公式なデータを参考にしていたと思います。それは転職先を調査するときにも、同じでした。

しかし現在は、たとえばグラスドア(米国の転職情報に関する口コミサイトの最大手)のように、匿名とくめいで「この会社の制度はここが良くない」「自分はこういう仕事で、入社何年目で給与はこれくらい」といった、かなり機密に近い情報がオープンにされています。情報の壁がどんどん薄くなる時代、企業がどれだけ体裁をつくろって内実を隠そうとしても、オープンな情報に慣れ親しんでいる「ミレニアル世代」には容易に見抜かれてしまうと覚悟しなければなりません。

また「ミレニアル世代」は組織への忠誠よりも、個人の幸せや快適さを優先するといわれている世代です。年功序列や終身雇用によるキャリア形成に興味を持たないのはもとより、転職に対する後ろめたさや罪悪感もほとんどありません。また就職先を選ぶ場合にも、企業のブランドよりも、どのようなスキルや経験が身につくかを重視する傾向も強い。そのためには企業内での配置転換も積極的に求めますし、休職をして大学院等で学び直すことにも抵抗がないようです。