――ケンブリッジ大留学時代、いつも同級生に食事を奢っていたようですが……。

北尾 初めは英語が喋れない。だから、英国人の学生を誘って、食べながら会話の勉強をしたわけです。とてもいい勉強になりました。家庭教師代と思えば食事代ぐらい安いもの。そのうえ友達もでき、英国人を知ることにも役立った。

こういうときにケチらない。それも自分に対する投資、先行投資です。

要は、生きたお金の使い方が大事だということ。それが結果的に生きてくる。財布を嫁さんに握られていては、こういう投資も思いきってできませんよ。

最後に、今年の相場見通しを尋ねた。

――昨年来、サブプライムローン問題で世界経済は混乱しています。投資市場は今年どう動くと予測しますか?

北尾 ドルの信認低下で、円高は可能性としては80円ぐらいまで進むと見ておく必要があります。ユーロはファンダメンタルズからすれば高い水準にありますが、基軸通貨がドルとユーロという体制になっていけば、さらに強くなる可能性もあり、そうなれば円に対しても強くなるでしょう。為替は非常に読みづらい状況にあります。

サブプライムの直接的な影響はアメリカはじめ各国政府の迅速な対応で、システム的なリスクはほとんどないと、私は当初から唱えていました。しかし、経済全体が影響を受けていることから派生する問題があって、やはり読みづらい。

今年下期になれば安心して投資できると結論できる状況ではありません。あと半年ぐらいは様子を見るべき。わからないときは「待ち」です。

しかし、株式相場には先行性があります。経済の回復を見越して早めに動く。いち早い決断のためには、そのことも忘れてはなりません。

(小山唯史=構成 大沢尚芳=撮影)