「2020年までに温室効果ガス25%削減」と世界にぶち上げた鳩山総理。だが、現実は約1兆円の国民負担増。一方、ロシア、ウクライナ、東欧諸国は「ホットエアー」でバカ儲けしている。話題の書『排出権商人』の著者を直撃した。
「25%削減」公約は民主党の失敗
――昨年12月のCOP15(第15回国連気候変動枠組条約締約国会議)で「コペンハーゲン合意」に「留意する」ことが採択されました。
今回の合意に法的拘束力はありませんが、草案作成に関わった日本がこれを守らなければ、国際的な信用を失います。
合意では、先進国は2020年までのいわゆる「中期削減目標」を今年1月末までに約束しなくてはなりません。
――日本は鳩山首相が打ち出した1990年比25%削減を約束するかどうかを決断しなくてはならない。
鳩山首相は、民主党のマニフェストを、国民や産業界の同意なしで、いきなり9月に国連の場で国際公約にしてしまった。この「25%削減の呪縛」は民主党自身、失敗だと思っているはずです。
もちろん、決して口には出さないでしょうけれど。
――民主党自身が失敗だと思っている。
京都議定書では、日本は「第一約束期間(2008年から2012年までの5年間)」をつうじて1990年比で6%の温室効果ガス排出量を削減する義務を負っています。
しかし、2007年時点で、排出量は逆に8.7%増えています。
2008年は、世界的金融危機に端を発する景気後退でかなり減りましたが、それでも1990年比で1.8%増です。 最初に25%削減と聞いたときは唖然として、何を根拠にこんな目標を掲げたのだろうかと、その後の党幹部などの発言を注視してきました。
しかし、「最初に目標ありき(バックキャスティング)」とか「国内排出量取引制度や地球温暖化対策税などの施策を総動員する」といった抽象的な話ばかりで、どうやっていくら減らすのかという具体策はまったく出てきません。
民主党は深い考えもなしに25%削減をマニフェストに書き込み、鳩山首相がそれを国際公約にしてしまったので、自縄自縛の泥沼に陥っているとしか思えません。