授業を成り立たせるには教育用グループウェアの併用が必須!

ただし動画配信だけでは、授業は成り立たない。対面授業でも、普通は講義資料などを配布するが、遠隔授業では、その重要性が増すことは言うまでもない。また学生が動画を観たかどうかを確認する必要があるし、理解度を試すための小テストやリポートなども必要になる。

本学では、数年前からmanabaという教育用グループウェアを導入し、活用している。出席・資料配布(PDF等)・小テスト・リポート提出・各種連絡・成績集計などの機能がついており、教員・学生全員が使えるようになっている。

動画配信とmanabaを組み合わせることで、従来の授業に近づける工夫がなされた。たとえば動画のなかで、講義の出席コードを提示し、学生たちにそれを入力させることで、動画を閲覧した(講義に出席した)ことにするなどである。

資料配布も小テストなども、すべてmanabaを使って、スムーズに行うことができた。逆に教育用グループウェア無しで、YouTube型遠隔授業を成り立たせるのは、かなり難しいと思う。

講義動画を作るのも命懸け

講義動画の作り方は、主に2通りだ。ひとつは、教員が実際に講義を行い、その様子をビデオ撮影する方法だ。板書も液晶プロジェクターの映像も、比較的きれいに撮れるし、動画作りのための特別な工夫もほとんど要らない。

ただし各教員の自宅にはそういう目的で使えるスペースがない人が多く、外出自粛がかかっているさなか、わざわざ大学に行って撮影する必要があった。それでも危険を冒して、この方法を採用する教員も少なからずいた。

もうひとつは、自宅で、自分のパソコン画面にスライドなどを映しながら講義を行い、それを録画する方法である。そう書くとずいぶん難しそうに感じるかもしれないが、やってみると意外と簡単だ。

筆者はテレビ会議システムのZoomで動画を作っている。Zoomには、パソコン画面の共有機能と録画機能がついている。

まずZoomで会議を立ち上げ、自分のパソコン画面に講義資料を映して共有状態にし、それにウェブカメラで自分の顔を映しながら講義を行う。要するに、参加者が自分だけの会議をやって、それを録画するわけである。

意外と簡単に講義動画が作れるので、この方法を採用する教員が多い。またマイクロソフトのパワーポイントにも録画機能があるので、そちらを利用する教員もいる。

できた動画は、インターネット経由で大学のサーバーにアップする。それを事務職員が授業日程などを確認後、クラウドの動画サーバーにアップして、学生に公開する。