オンラインで遊べる新サービスを導入

サービスの付加価値を高めたことも大きい。ボウリングとカラオケにおいて、スクリーンとマイクを通じてほかの場所にいる人と一緒に遊べる「ラウンドワンライブ」を19年1月から順次導入した。全国のラウンドワン店舗をつなぎ、離れた場所にいる人とボウリングのスコアを競ったりプロボウラーと対戦したりできるほか、離れた場所にいる人とカラオケで一緒に歌うこともできる。このように付加価値を高めて値上げすることで、売り上げ増に成功した。

こうしてラウンドワンは国内でV字回復を果たしたところだったが、出店余地は限られており、国内だけではいずれ行き詰まる。店舗数は2010年ごろまでは増加傾向にあったが、それ以降は110店程度の横ばいが続き、ここ数年は若干減ってきている。20年3月末時点の店舗数は103店だ。飽和に達していると言っていいだろう。

このため新たな成長機会をとらえるために10年に米国に進出した。店舗数を徐々に増やしていき、20年3月末時点では41店を展開するまでになった。日本では郊外ロードサイドへの出店が多いが、米国ではショッピングモールに的を絞って出店している。撤退した小売店の跡地に出店するケースが多い。ショッピングモールの来店客をターゲットに、買い物のついでに立ち寄ってもらうことを狙っている。ここ2年は出店ペースを速めて年10カ所程度を出店しており、今後もショッピングモールを中心に年10カ所以上を出店し、100店体制を目指す考えを示していた。

業績好調の米国でも全店舗臨時休業

米国事業の業績は好調に推移していた。売上高は店舗数の増加とともに増えていき、利益は16年3月期から大きく高まっていった。19年3月期には、15億円もの経常利益をたたき出している。利益率も年々高まっており、19年3月期の売上高経常利益率は9.4%にもなる。国内(売上高849億円、経常利益96億円、経常利益率11.4%)にはまだまだ及ばないものの、第2の市場の業績としては申し分ないだろう。

だが、ちょうど波に乗り出したところ、新型コロナが世界中で猛威をふるい、米国市場も直撃した。ラウンドワンは全41店舗の臨時休業を余儀なくされている。これが影響し、20年3月期の米国事業の業績は厳しいものとなった。売上高は先述したとおり前期比25.7%増の205億円と大きく伸びたが、期初計画(234億円)を大きく下回っている。経常利益は24億円を計画していたが、3300万円にとどまった。今後、営業を順次再開させていく考えだが、再び成長軌道に乗せられるかは不透明だ。

日米ともに厳しい状況に置かれたラウンドワン。はたしてV字回復ならぬW字回復をはたすことができるだろうか。

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