臨時休業まで国内の業績は健闘していた

5月11日に発表された2020年3月期連結決算は、売上高が前期比3.4%増の1047億円、営業利益は22.4%減の88億円となっている。純利益は33.0%減の47億円だった。成長市場と位置づける米国での店舗数が41店と前期末から9店増え、米国での売上高は205億円と25.7%増えた。この結果、全社の売上高は伸びたが、新型コロナにより国内と米国の店舗を臨時休業としたことが利益を押し下げた。

新型コロナで臨時休業するまで、国内の業績は健闘していた。昨年10月の消費増税や台風19号などの影響で19年10~12月の既存店売上高は前年を下回ったものの、19年4~9月は前年同月比5.0%増と大きく伸び、今年1月と2月も先述の通りプラスだった。19年4~12月期の業績が出た直後の段階では、20年3月期通期の既存店売上高は2.1%増を計画していた。

しかし、新型コロナの影響で今年3月は大幅マイナスとなり、通期は0.1%減のマイナス成長に陥った。もし新型コロナがなければ計画以上の伸び率で着地しただろう。

既存店売上高9期中8期マイナスからの回復

ラウンドワンは少し前まで苦戦していた。08年3月期から16年3月期までの9期で既存店売上高が前期を上回ったのはわずか1期だけだった。ところが、17年3月期以降は体験型のコト消費の拡大や、人手不足に伴うアルバイトの時給上昇により、ラウンドワンの主要ターゲットである若者の所得が向上。その結果、既存店売上高は17年3月期が1.9%増、18年3月期が5.3%増、19年3月期が0.9%増と、3期連続で前年を上回っていた。

この間、さまざまな施策も打っていた。ボウリングでは、ボウリング教室を継続的に開催してファン層の拡大に努めてきた。ゲームセンターでは最新のゲーム機や大型メダルゲームの導入や、人気機種のバージョンアップを積極的に実施。カラオケでは人気音楽グループとコラボした部屋を用意し、コラボグッズを提供したほか、大型モニターの導入を進めた。スポーツコーナーの「スポッチャ」ではボード状の電動立ち乗り二輪車「バランススクーター」やトランポリンの一種「エアポリン」を導入している。

20年3月期も、19年1月から順次実施した「値上げ」が奏功した。1月からゲームセンターのメダルの貸し出し価格とスポッチャの入場料を、4月からボウリングとカラオケの料金を順次値上げ。これらの値上げが増収に寄与し、既存店売上高は19年1~3月が3.3%増、4~6月が8.1%増、7~9月が2.2%増とそれぞれ伸びている。