「とりわけ三田キャンパスに通う文系の3~4年生にいえることですが、慶應のゼミ生は、ビジネスの最前線にいるゼミOBと頻繁に交流する伝統があるため、社会人としてのトレーニングを受ける機会が多いからです。それに対して、早稲田は自由放任主義の伝統が良くも悪くもまだ残っていて、ビジネスに不適格な、社会性が欠如した学生も生み出してしまうわけです」(オバタさん)

その一方で、オバタさんは、「三田の慶應生と話していると、学生らしい清々しさがなく、小さくまとまって、面白みに欠ける」とも評価する。

早稲田も慶應も、ビジネスパーソンとしての資質には、一長一短があるようだ。粗削りだが大化けするかもしれない早稲田を選ぶのか、粒ぞろいだが発展性がないかもしれない慶應を選ぶのかは、企業次第といったところだろう。

慶應が強い業界&早稲田が強い業界

図の大学別就職先データをご覧いただきたい。例えば、就職先として大学生の根強い人気を誇る総合商社では、早慶を比べると、慶應の強さが際立っている。

総合商社は慶應、ANA慶應・JAL早稲田

ただし金融業界は、慶應が圧倒的に強く、とりわけメガバンクは慶應卒が非常に多いイメージだったが、早稲田のほうが就職人数の多い銀行さえある。もっとも、「銀行業界は、国際競争が激化し、就職先としての人気も低下しています。手堅い慶應生が敬遠したため、早稲田生の入る余地が広がっただけかもしれません」と、大学通信の安田さんは話す。

コスパ最強企業のファストリ・ニトリは早稲田が圧倒

早慶の学生では、企業を選ぶ傾向に違いもあるようだ。例えば、早稲田は、「電力業界や通信業界、運輸業界に、多くの人材を送り出してきた伝統があり、それはいまも受け継がれています」(安田さん)。早稲田の学生は、慶應に比べて地方志向が強いため、地域の公共インフラを担う、そうした業種を就職先として好むようだ。