自治体の首長こそ、アフターコロナの光

また、大阪の吉村知事と、大阪市の松井一郎市長が、新型コロナウイルス感染拡大で逼迫する医療現場で不足する防護服の代用として、緊急に「雨がっぱ」買い取りを表明したことも話題に。これに対して10万着の無償提供が寄せられるなど多くの共感を得ながらにして、医療現場を守りました。

加えて、吉村知事はソフトバンクグループの孫正義会長兼社長が18日に発したツイッターに即座に反応しています。孫会長が医療用フェイスシールドと医療用メガネを緊急に調達できる可能性に言及し、このツイートに吉村知事が「是非、大阪府で買取りさせて頂ければと思います」と申し出ています。孫会長は「一緒にコロナとの闘い頑張りましょう」と返答するなど、官と民が一体となれば、これだけ早い対応が出来ることが如実になっています。地方自治の首長の牽引力、泥臭さこそ、withコロナを耐え忍び、アフターコロナでも日本が力強く生きていける「光」となっています。

集団で均衡を保つ日本の国民性

今回の新型コロナで、日本が今後、評価されるかもしれない点は、時期尚早かもしれませんが、日本人的性質かと思ってます。渋谷のスクランブル交差点を誰もぶつかることなく綺麗に渡りきる感覚。言葉では説明しきれないですが、あのような均衡を保ちながら進む感覚を日本人は持ち合わせているのです。法的な禁止措置を取らず、都市封鎖を行わないまでも外出の自粛に従う国民性は長年積み重ねられたDNAすら感じます。

まだまだ中小企業ではリモートワークの移行が難しいとも言われており、緊急事態宣言も遅すぎるとの意見はありますが、ある程度の効果を出していると言って良いでしょう。また、3月21日と22日にお花見を楽しむ人の姿が散見され日本人の行動に疑問が寄せられましたが、背景にはその直前の安倍首相の記者会見で「政府の専門家によれば、取られた対策はウイルス拡大防止に効果があった」と話し、安心感を与えてしまった点は否めません。

しかし、日本が諸外国の様に、いきなり緊急事態宣言を出していたら、どうなっていたか? 3月下旬から4月第1週目あたりは、各国の都市封鎖の情報から、日本でも「緊急事態宣言=都市封鎖」との誤った情報が出回っていました。国は、緊急事態宣言=都市封鎖ではないという情報がある程度行きわたるまで時間を要し、買い占めなどの混乱を招かないように時期を見計らった意味では、「タイミングは良かった」という見方もできなくはありません。デマが出回っていたあの状況下での緊急事態宣言は回避して正解なのです。群集心理が暴走した末は恐ろしいものです。ある意味国民を、混乱に陥れることなく、自粛に移行できたのではないでしょうか。

内閣官房が4月14日に、JR東日本、JR西日本、JR九州、東京メトロがまとめた主要駅の改札通過人数の推移を発表しています。20年4月12日と前年同期と比較して、改札通過人数は、東京駅84.0%減、新宿駅86.0%減、渋谷駅81.0%減、池袋駅81.0%減、横浜駅82.0%減、千葉駅71.0%減、東京メトロ全駅82.0%減、大阪駅93.0%減、三ノ宮駅80.0%減、博多駅(在来線)83.0%減となっています。法的な規制なしに効果を出していることが伺えます。