2010年の新司法試験合格者の数は2074人で2009年より31人増えた。しかし、受験者数が過去最高の8163人となったことで、合格率は2.2%減の25.4%へ低下している。
2010年頃までに合格者を年間3000人にする閣議決定は、法曹人口の急増に対する風当たりが強まったことで足踏み状態を余儀なくされている。そのあおりを受けて、新司法試験は狭き門になりつつある。
合格者数で見た上位5校の顔ぶれは順位ともに2009年と変わらず、不動の地位を築いたかのようだ。また、合格率が40%以上の法科大学院は上位10校のなかにほぼ固まっている。一方、2010年は合格者がゼロという法科大学院が2校現れた。下位10校の合格率を見ると、このうち九校が10%未満に甘んじているという惨憺たる状況だ。
こうした上位校と下位校が明確に二極化するなか、今後予想されるのは下位校の淘汰である。すでに姫路獨協大学は2010年5月に来年度の法科大学院生の募集停止を発表している。04年に法科大学院がスタートして以降、募集停止は初めてのケースで、同校は在校生が修了する13年にも廃止されることになりそうだ。ちなみに同校の新試験合格者はわずか3人である。
また、文部科学省の中央教育審議会は、法科大学院の再編を促す措置を打ち出した。入学者選抜における競争倍率が2倍未満だったり、3年以上継続して新司法試験の合格率が全国平均の半分未満などの場合、交付金や補助金を減額するというもので、12年度の予算から適用される。ある意味で“糧道”を断たれるわけであり、下位校は再編・淘汰が待ったなしということになりそうだ。一方、超難関試験をクリアしたのもつかの間、最後の出口でつまずく傾向も高まっている。新司法試験に移行してから司法修習生の質が著しく低下しており、司法修習の卒業試験の不合格率がアップしているのだ。2010年7月の試験の不合格率は12.6%で過去最高をマークした。