コリン、レシチン、抗酸化物質を摂取して、腸内環境を整えるとともに、「脳によい栄養素」の最必須といえば、魚の脂肪に含まれるDHA(ドコサヘキサエン酸)&EPA(エイコサペンタエン酸)だ。一時期「頭がよくなる」とブームになったので、名称を耳にしたことがある人も多いだろう。

中高年以降は特に意識して摂取を

アンチエイジングに詳しい和田秀樹医師(和田秀樹こころと体のクリニック院長)は「脳の機能を維持するために、脂ののった魚は非常にいいです。体内で活性酸素が発生しやすくなる中高年以降は特に意識して摂取を」と話す。

とりわけDHAには神経細胞の膜を柔らかくして、脳細胞の働きを高める神経伝達物質を増やし、情報を送ったり受け取ったりする伝達が活発になる作用があるとされる。脳細胞の脂肪には平均して10%のDHAが含まれているが、記憶学習の機能を持つ「海馬」には20%以上のDHAが含まれるため、十分なDHA摂取は頭の回転をよくすることに貢献する。

「DHA、EPAは血液をさらさらにして血管の柔らかさを保ち、脳動脈硬化症や脳卒中による認知症を予防します。1日に合計1グラム以上の摂取が望ましいとされます。焼いたサンマなら1尾、小型のイワシなら2尾。刺身であればマグロ(トロ)で2~3切れ、ブリで4~5切れです」(東丸医師)

イワシやサバ、サンマ、マグロなどの身の部分や目の裏のゼリー状の脂肪にDHAはたっぷり含まれる。「さば水煮」や「いわし味付」「さんま蒲焼き」などの缶詰にも豊富だ。

また、脳のエネルギー源となる「糖質」も欠かせない。脳のエネルギー消費量は非常に多く、成人男性で1日500キロカロリーにものぼる。そのため、主食をしっかり取ることも忘れずに。

「特に受験生や、何らかの試験を受ける日は、当日の朝に炭水化物をしっかり取ってください」と和田医師。和田医師は試験日前日に縁起担ぎの「トンカツ」も理にかなっていると説明する。

「心を安定させる脳内ホルモン『セロトニン』を増やすには、材料となるトリプトファンを取ることが必要です。セロトニン不足は気分が鬱っぽくなったり、試験日にパニックになりやすいですからね。トリプトファンはアミノ酸の一種で、豚肉や納豆などに多く含まれています。脳の栄養素という意味ではまず魚の脂が大事ですし、次に気分の安定では肉が、脳を動かすためには炭水化物も必要ということです。3つをバランスよく取りたいですね」

ここぞというときに「目覚めたい」なら、カレーやコーヒーを。カレーに使われるスパイスは血流を促進し、脳を活性化させ、集中力を高める。野菜や肉などの具をきちんと入れることで一層の効果も望めるだろう。そしてコーヒーは、勉強を始める30分前に。覚醒作用があるカフェインは全身に行き渡るのに摂取後30分かかる。胃への刺激となる空腹時を避け、食後に飲めば脳がスッキリと目覚めるはず!

すすんで取りたい! 頭がよくなる食品AtoZ
板倉弘重
品川イーストワン メディカルクリニック院長
 

和田秀樹
和田秀樹こころと 体のクリニック院長
 

東丸貴信
平成横浜病院
 
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