アメリカ金融大手の相次ぐ破綻。日本企業でもこの先、コストカットがうるさく言われそうだが、一方で企業と社員、双方にうれしい社内制度が少しずつお目見えしている。
たとえば「チャリ通手当」。自転車(チャリンコ)通勤の社員に、企業が一定の手当を支給する制度だ。企業は定期代を支払うより、コストを削減できる場合も多い。社員も、自転車通勤なら実費が不要だから、手当がまるまる「お小遣い」になることもある。
2001年、行政でいちはやくこの手当を導入したのが、愛知県名古屋市。「市の職員みずからが環境によいことを実践しようとの思いから始めた」と、名古屋市役所・総務局の杉本隆司氏。
通勤手当の制度を改正し、2km以上5km未満の職員には月4000円、5km以上10km未満の職員には月8200円を支払う。同時に、「2km以上5km未満=2000円」だったクルマ通勤の手当を半額に。「チャリ通」の優位性を強く打ち出し、その波及を狙った格好だ。
「制度を改正する前、00年当時の支給者は825人だったが、今年4月には1755人にまで増えた」と杉本氏。同市役所の全職員は2万人、約10人に1人が手当をもらっていることになる。
一方、「チャリ通族」を意識して更衣室や風呂まで完備したのが、自転車業界のシマノ。チャリ通手当は20年前から導入、すでに社員の約3割が支給を受けているそうだ。昨年は「自転車(通勤)はメタボ解消に役立つか?」を調べる社内実験を行い、今年2月にその数値を公表した。概して、自転車に回数多く乗るほど、体重や体脂肪の減少・改善が見られたという。
このほか、最近は「社内バー」を設ける企業もある。とくに若手の社員から「上の世代とも交流しやすい」と好評だと聞く。企業にも社員にもうれしい制度は、まだまだ登場しそうだ。