値上げは「不道徳」なのか
転売を「不正」と考えるなら、小売り価格を値上げしたうえで、値上げによって生じた利益は税で回収して、「愚か者への税金」にすればいいでしょう。これで買い占めは止まるし、転売業者も消滅します。これがウォルター・ブロックが『不道徳な経済学』で展開する論理で、転売が「不道徳」になるのは市場を規制するからです。
マスクや消毒液などは医療機関など必要なところに優先的に配給すべきかもしれませんが、トイレットペーパー、ティッシュ、キッチンペーパー(!)は感染防止になんの役にも立たない(※)のだから、さっさと値上げして、このバカげた行列を終わらせるべきです。
そんなことをしたら、「行列できるけどお金がないひとが差別される」との反論があるかもしれません。それならタイムセールのように、既定の量を先着順で販売し、そのあとは受給に合わせた市場価格にすればいいでしょう。これなら「行列できるひと」と「お金のあるひと」が必要なものを入手できます。「行列もできないしお金もないひとはどうするんだ?」との意見もあるでしょうが、そのひとは値上げしてもしなくても入手できないのですから同じことです。
こうした手法を「不道徳」と考えるひともいるかもしれません。転売を道徳的に非難し、値上げもいっさい認めないというのなら、ほかにどういう実効性のある方法があるのか具体策を提示すべきです。政府や行政を批判するだけならネットでじゅうぶんです。
※家庭用品としての使用を前提とした場合