夫の疑いが晴れても、お金の心配が尽きない高齢出産妻の心情

ある日、Eさんは勇気を出して「浮気しているのか、それともギャンブルにつぎこんでいるのか」と夫を問いただすと、「繰り上げ返済していただけだよ」と。実は、毎月の返済額のほかに夫は無理して繰り上げ返済をしていたのです。一触即発の事態でしたが、Eさんの杞憂でした。

実は夫は住宅ローンを長期間抱えたままでいることが嫌で、せっせと繰り上げ返済をしました。その原資は年間150~180万円ほど支給されるボーナス。夫は「家計には迷惑をかけていなかったはずだよ」と反論したそうです。

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写真=iStock.com/Bet_Noire
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妻のほうは高齢出産だった影響で子供がまだ幼稚園児。夫が定年した後も必要となる教育費(大学の授業料など)や、自分たち夫婦の老後資金の準備もしたい。自分も子供が小学生になったらパートの仕事量を増やして収入を増やすつもりですが、園への送迎が必要な今はそれができず、焦りを感じていました。

夫は娘を大学に進学させるための算段もきちんとつけていた

この教育費に関して、夫はいろいろと計画していました。2019年10月から幼児教育無償化となり保育料がかからなくなったこと、また進学予定の公立小学校でかかる費用は給食費程度。よって、毎月3万円は貯金できると考えていました。

繰り上げ返済した後のボーナスの残りを貯金に回し、また、これまでも使わずに貯めてきた児童手当(児童を養育している世帯に、中学校卒業まで子供一人あたり月額1万~1万5000円支給)を貯め続ければ、計500万円以上になり大学進学費用もまかなえると思っていたそうです。

ここまで聞くと、確かに毎月の家計はギリギリ黒字(+6000円)ですが、家計管理者である夫の判断と計画の結果だということがわかりました。

しかし、Eさんの不安は収まりません。

それは老後資金不足になるのではないかという気持ちが強かったからでした。一方、夫は「たぶん退職金が2000万円ほど出るし、企業年金でも500万円くらいできるから、心配はないよ」と楽観視していました。どうやら老後にどのような生活を送り、いくらを準備するべきか、具体的に考えたことはないようです。