通夜飲食も、参列者数に対してどれだけ用意するのかで大きな差が出ます。料理が足りなくなるのを心配して人数分より多めに用意することも多いですが、たいてい余ります。一般的に参列者の想定人数の5~6割が適正だとされ、100人の一般参列者であれば50~60人前。1人前3000円として、半額の約15万円の節約になります。

「予算」を組むのもおすすめです。葬儀費用は「あれも、これも」と足し算で考えやすいのですが、事前に予算を決めておくと、その範囲内でできることを検討しようとする意識が芽生えます。まずは「総額100万円以内で見積もってください」と相談しましょう。

悪い葬儀ほど法事のたびに思い出す

最終的に葬儀社を選ぶに当たっては、費用以外にも大事なポイントがあります。特に次の3点に留意してください(図4参照)。

葬儀社を選ぶ際の3つのポイント

第1は、総額の見積書とともに、その内容を丁寧に説明してくれることです。説明が業界用語ばかりだと理解できません。たとえば、棺の項目に「あすか8万円」と書かれていたりします。「あすか」というのは白い布張りの棺の商品名で、業界の人間でないとわかりません。要はお客さまではなく、担当者自身が処理しやすい見積もりになっているわけです。

第2は、対応の仕方です。立て板に水のごとく一方的にセールストークをする葬儀社もあります。事務的でどこか冷たい印象で、遺族の要望や思いなどを汲み取ろうとする姿勢が感じられません。これは大事な点です。私の経験からすると、遺族の思いに耳を傾け、遺族に寄り添おうという姿勢の葬儀社ほど、満足する葬儀を行ってくれる確率が高いのです。

第3は、要望に応じた施行事例の写真を見せてくれるかどうか。故人の人柄や趣味などをうまく演出したいとき、施行事例を見せてもらうと参考になります。自信のある葬儀社は実績の写真ファイルを用意しています。経験のない葬儀社は一般的な見本カタログを見せるだけです。

もう1つ付け加えるならば、担当者に好感が持てるかも大切です。2番目とも通じますが、相手の感じがいいと、ちょっとしたお願いや質問がしやすい。印象が悪い、苦手だなと感じるといいたいことも我慢してしまいます。2社を比較検討して、予算内で10万円程度の差であれば、担当者の好感度のよいほうを選んだほうが絶対にうまくいきます。葬儀の満足度は費用よりもソフト面が大きく、担当者がよくやってくれたとか、気が付く人だったということが大きな影響を与えるからなのです。

お葬式の後悔というのは、法事のたびに思い出すもの。四十九日、一周忌、三回忌のたびに、「あのときの葬儀社は最悪だったね」と親戚同士で話題にのぼってくるのです。できることなら「いい葬式だったね」と思い出したいですよね。これまで述べてきたアドバイスを参考に、最善の葬儀社を選んでいただければ幸いです。

(構成=田之上 信 撮影=石橋素幸 写真=PIXTA)
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