国産野菜を使用、カロリーは控えめ

その言葉通り、メニューに載っている品目はいずれもカロリーを抑えめにしてある。食べ終わった皿に、大量の油が残っていたりはしない。そして、健康的なメニューを提供し続けるための企業努力をしている。

例えば使っている野菜だ。中国由来のザーサイ、メンマなどを除いて、野菜はすべて国産。しかも、自社農場で作った野菜が全体の3割を占めている。

米、小麦粉、豚肉、鶏肉も国産。牛肉だけはオーストラリア産だ。麺に使う小麦粉は栃木県産で、餃子の皮の小麦粉は北海道産だ。

グランドメニューに載っている揚げものは鶏の塩唐揚げだけ。これも以前は唐揚げにこってりした甘酢あんがかかっていたとのことだが、池野谷が「カロリー過多だから」と提案し、あんをかけない塩味の唐揚げに変えた。

チャーシューは蒸して作ったもの。脂は落ちている。餃子の具として使用されるひき肉も脂身の多いそれをやめて、赤身肉を増量した。

極めつきはライスだ。白米と玄米があり、客は好きなほうを選ぶことができる(一部の店は白米のみ提供)。チャーハンに至っては、白米と玄米を半分ずつ使用して提供している。

池野谷ひろみ社長
撮影=石橋素幸
池野谷ひろみ社長

玄米を選ぶのは圧倒的に男性が多い

飲食チェーンで健康志向を謳うところは少なくない。しかし、玄米をここまで前面に押し出して、健康の重要性を主張しているのは「ぎょうざの満洲」だけだろう。

池野谷は「最初は従業員から『玄米はダメ』と言われました」と語る。

「私どもの店で、玄米を選ぶお客さまは4割です。それも女性でなく、圧倒的に男性が多い。きっと食生活の片寄りを気にしている方に喜ばれているのかな? と思います。

そうそう、私が『玄米にする』と言ったとき、店長はほぼ全員、反対でした。『中華に玄米は求められてない』『中華に玄米は合わない』とか。みんなに反対されたけれど、『テストで一軒やってみようよ』と決めたんです。そうしたら、お客さまの評判がすごくよかった。それで提供する店舗を徐々に増やしていき、今、9割方のお店が玄米取扱店になりました。

面白いんですよ。一番人気のダブル餃子定食というメニューがあるんですけれど、『ダブル餃子定食、玄米大盛り』と注文される方が結構多い。『がつんと食べたい、でも健康が気になる』方は、ライスを玄米にすることで罪悪感がなくなるんでしょうね。実際に、白米ではなく玄米を選ぶことでメニューの総カロリーは減り、多くの栄養成分を摂取できます」(池野谷)