昨年、一部の専門職で労働時間の規制を外す「高度プロフェッショナル制度」が始まった。この制度では「残業代目当ての居残り」はできない。しかし、この仕組みを事実上先取りしている公立学校では、教師の長時間残業が問題になっている。なぜそんなことになってしまったのか――。

※本稿は、江澤隆輔『先生も大変なんです いまどきの学校と教師のホンネ』(岩波書店)の一部を再編集したものです。

先生の机の上の宿題が終わって割り当て書類の山
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「高プロ」を先取りしている仕事があった

2019年4月に始まった、高収入の一部専門職を対象に労働時間の規制から外す仕組み「高度プロフェッショナル制度」。労働時間と給与の関係を切り離すこの制度には、際限のない長時間労働を生む可能性が懸念されている。同時に、現在は1075万円以上とされている年収要件が引き下げられるなど、幅広く適用される恐れも指摘され続けている。

実は、この高プロに酷似した労働条件を、50年前から導入している職業がある。それが公立学校の教師だ。現役の公立学校教師である江澤隆輔氏は、こうした「定額働かせ放題」の制度が、非効率で長時間労働の学校現場を生み出していると指摘している。江澤氏の著書『先生も大変なんです いまどきの学校と教師のホンネ』から、実態を紹介する。