介護費用は次第に膨れ上がっていく
「2万円ぐらいなら、と親のためお金を出したくなる気持ちもわかります。でも介護費用は次第に膨れ上がっていくもの。かといって援助を打ち切ることもできず、子どもの教育資金を食いつぶし、家まで手放して……そんな介護破綻の例をいくつも見てきました」
介護が始まってすぐ行うべきなのは、両親の年金額、父が亡くなったときに母が受け取る遺族年金の額、貯蓄額の確認だ。以降の介護は、親の財産の範囲で行う。これで親の介護費用負担から解放される。もっとも親に直接「貯金いくら?」と聞いても、教えたがらないかもしれない。そこで「専用のノートをつくり、1つずつ質問に回答してもらいましょう。これなら記録が残りますし、手書きにすると親を思う子の気持ちも伝わります」。すると、年金と貯蓄を合わせて介護に月々いくらかけられるのかプランニングできる。施設を探し始めるのは、その後だ。
「例えば熱海にある『中銀ライフケア』の各物件は中高齢者専用マンション。居宅サービスとして、介護保険を使えます。夫婦が入れる部屋が数百万円程度で購入でき、月々の利用料は食費など入れても20万円以下で暮らせます。そういう穴場物件も探せばあります。また一方では、介護度が上がってから入居したい特養も探しておきましょう。自治体によって入居待ち期間も全然変わります」
次は教育費。中学受験しなければ、小学生のうちは教育費が家計を圧迫することはないだろう。だが「大学までどうやって進学するか、この時点でプランニングするべきです」と畠中氏は強調する。例えば「私立高校はお金がかかり、公立高校は安い」という常識は過去のもの。私立高校進学がもっとも安上がりになるルートも存在するのだ。
「今どきの私立高校は塾が出張授業にきていて、受験対策は万全。一方、公立高校では塾に通う人が多くなる。私立高校の授業料は就学支援金のほかに、都道府県の助成もあります。私立高校のほうが推薦で大学に進学する割合が多く、受験料も抑えられるので、総額を抑えることが可能になります」