数字に縛られると人は生きていけない

今度は、別の視点で、人を木に例えて話を進めてみたい。幹や枝や葉の部分が「行動(Doing)」で、花や実を「行動した結果や成果(Have)」と例えている。

イラスト=勝屋久
木に例える

社会では長年、成果主義が定着しているから、数字に縛られて生きる人が多いのが当たり前になっている。僕も会社員時代はそうだった。目標を達成したら評価される。評価されたいから、次の目標値を達成するように頑張る。頑張って達成して、また評価される。評価されたいから、また次の目標値を達成するように頑張る。この繰り返しだ。

限界を超えて頑張りすぎると、だんだんと疲弊して、やる気がなくなる。それは、このイラストの右上のように、木も根もやせ細り、枯れてしまいそうになる状態だ。心からやりたい事業をしている創業社長でも、強靭きょうじんなスーパー会社員のような人の場合でも、重い病気になったり、あるときは死に至ることもあるだろう。それは、木がバキッと折れてしまうような状態だ。

自分を生きるには許してあげること

木の土から上の部分は自分の外側の世界、つまりDoing⇄Haveのように成果や結果がある、目に見える世界である。一方、地上からは見えない根の部分がその人の人間的な器、すなわち「在り方(Being)」を表している。この根の部分がとても大切なのである。でも、大切だからこそ、普段、目にすることができない。

この根を育てるには、「観念/思い込み」を外すことだろう。それに、僕が自分の存在を許したことのように、「許し」は肥やしになる。

また、お金、時間、人、環境などを理由にして、自分に制限をかけていることを「許可」することも大切である。小さいことからでもいいので、少しずつ自分の欲求を叶えると制限の枠が広がり、自由になり、創造力も高まるだろう。