軽い気持ちで検査をして患者はその悪い結果に驚き、あっという間に手術日が決まり、入院となる場合があります。「別の治療法がないのか、ほかの医師の意見も知りたい。納得するまで説明を聞きたい」と思っても、病気に対する不安と焦りで流されるままになる場合が多いのです。それでも良い医師・病院に恵まれたら幸運ですが、1度入院すると他病院への転院は非常に困難になります。
医師を選ぶことは自分の人生を選ぶこと
病院を決めること、担当医師や治療法を決めるということを軽く考えてはいけません。これは手術だけに限ったことではなく、生活習慣病など慢性的な病気も同様です。最初の一歩をどう踏み出すかが極めて重要です。医師を選ぶことは自分の人生を選ぶことに直結するからです。
名医ランキングの調査は、医師への直接取材、推薦、医師間の相互評価、患者からの情報などから総合的に判断しました。各分野の名医とされている医師にアンケートを依頼し、なるべく客観的に比較できるようなデータを出していただくことをお願いしました。多くの医師が情報を公開し協力してくれています。とはいえ、医師の技量を測る客観的データといっても複雑で、横断的に比較できるような統一された基準もなく、その公開方法も一律ではありません。
外科手術については、高難度手術と通常の手術実績は一律に比較できませんし、患者の容体によって治療成績が異なるのは当然。一般内科では、何をもって治癒・寛解とするかを定義すること自体が困難です。
こうした名医を探す作業を通じて、有名な医師の情報を集めるのは簡単でも、その中から本当の名医を選ぶことは、実に難しいと痛感しました。しかし、誰もが理解している1つの事実があります。医師の技量の比較方法は困難ですが、「各医師によって治療の結果は明らかに違う」ということです。ただ、その客観的な比較方法がはっきりとしないだけです。どのような基準をもって名医というかの判断は大変難しいですが、医師も自身や家族が病気になったときには医師間のネットワークを駆使して名医を探しています。それが実態であるということです。
治療法の選択も大変重要です。患者は誰も手術を望んでいません。できれば切りたくないのは当然です。