GDPが高いのに自殺率も高い

世界33カ国 一人あたりGDPと自殺率
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世界33カ国 一人あたりGDPと自殺率

この二極化は、終身雇用制や年功序列が完全に崩壊してからますます顕著になりました。高度経済成長期はどんな人でも上昇のトレンドに乗ることができたので、最初は給料が低くても、年齢が上がれば給料も上がることを期待して、さまざまなことを我慢しつつ働いてきたものです。

しかし、90年代以降に日本のGDPの成長が止まってからは、誰かの収入が上がれば他の誰かの収入は下がることは必然で、皆が横並びの状態ではいられなくなりました。これまでの滅私奉公の元を取ろうと思った矢先に、はしごを外されたと感じるのも無理はありません。

ここで問題なのは、諸外国では46歳を境に幸福感が増していくのに、日本ではそのようなU字回復が見られないことです。こうした日本独特の傾向は、経済的豊かさと自殺率の関係においても見られます。一人あたりのGDPが高いほど自殺率が低下するのが世界的な傾向ですが、日本では一人あたりのGDPが高いにもかかわらず、自殺率も高くなっています。

私が思うに、諸外国でU字回復が見られるのは、40代半ばでさまざまな現実に直面した後、柔軟な思考によってその現実を受け入れられるようになるからではないでしょうか。つまり、自分の夢に現実が追いつかない20代、30代は幸福度が下がっていくものの、ある時点で目標に変化が生じ、現実と理想のギャップを埋めていくことができる。この価値観の転換点が40代半ばなのではないかと思うのです。

これに対して、日本では価値観の転換がうまくなされていないように感じます。日本で40代半ばといえばバブル世代ですが、いまだに右肩上がりの感覚や生活習慣を忘れられない人は多いようです。「自分はこのままでいいのだろうか」という漠然とした不安を感じながらも、何をどう変えればいいのかわからないから問題を先送り。これが、年齢とともに幸福度が下がり続ける理由なのではないでしょうか。