日本で最もアイス消費量が多い都市はどこか。2011年から2017年までの7年間で、5回首位をとっているのが金沢市、残り2回は富山市で、北陸勢が圧倒的に強い。なぜ、寒い北陸地域でアイスが好まれるのか。経済ジャーナリストの高井尚之氏が現地のスーパーを取材した――。
写真提供=どんたく
石川県のスーパー「どんたく」のアイス売り場

「冬はアイスが売れない」という一般論に異変

長年消費者を取材してきて、最近感じるのが、「AだからB」という、従来の一般論が崩れてきたことだ。

例えば、全国各地のスーパーやコンビニで買える、「家庭用アイスクリーム」もそのひとつ。アイスだから「夏の嗜好品」ではなく、「冬に食べる」傾向も強まってきた。首位ブランド「エッセルスーパーカップ」(2017年度の売上高は約245億円)を持つ明治では、データによって「夏アイス65%:冬アイス35%」(※)の割合になるという。

※定番商品のほか、夏アイスは春夏向け商品、冬アイスは秋冬向け商品が中心となる。

2018年度のアイス市場全体は5186億円(メーカー出荷ベース)と過去最高を記録した(日本アイスクリーム協会調べ)。5000億円の大台を超えたのは2年連続となり、6年連続で過去最高を更新している。

この理由は大きく分けて、(1)メーカーや小売りの販促活動の成功と、(2)消費者意識の変化だ。くわしい内容は後述するが、アイスを買う地域でも興味深い傾向が見られる。