老後資金をどう準備するのが正解なのか。重要なことは想定外のリスクに備えておくことだ。シニアの読者4人の「お金に関する想定外」を紹介しよう。第2回は「突然の病、月3万円の医療費が生活を圧迫」――。(全4回)

突然の病、月3万円の医療費が生活を圧迫

【定年時の貯金額】500万円以下

いまや国民病といっていいほど患者数が増えている「睡眠時無呼吸症候群」。眠っている間に呼吸が止まり、不整脈や脳卒中などさまざまな疾病のリスクを高める。渡辺さんも発症した1人で、それが老後プランに影を落とすこととなってしまった。

渡辺さん(仮名)67歳、男性、エンジニア(再就職)●家族構成/妻、長男(独立)、長女(独立)

治療法の1つであるCPAP療法は、機器を使って睡眠時に気道に空気を送り込むもの。渡辺さんも自宅で治療するため機器をレンタルすることになった。しかし、健康保険が適用される月額約4500円(3割負担の場合)の機器を試してみると息苦しくて眠れず、医師と相談のうえ、別の機器を借りることとなった。治療にかかる費用は月額約2万8000円に跳ね上がった。

「贅沢な体なんですかね(笑)。毎月のことですから、ボディーブローのように家計に響いてきますね」

これから20年使い続けるとすれば出費は約670万円に上る。

「両親ともがんで亡くなっているのでがん保険には手厚く加入していたのですが、まさか呼吸器系の病気にかかるとは想定外ですよ」