全部試してみてわかったが、「プルームテック」はよくできていて匂いもない。これなら飛行機で吸ってもバレないのではないかという悪い考えすらよぎるほどだ。これを紙巻きと一緒くたにする禁煙運動はやはり行きすぎと言わざるをえない。とは言うものの、蒸気の煙では紙巻きと比べて物足りず、ストレスはたまる一方だった。

私にとってタバコは仕事の必需品である。暇なときなら禁煙とやらに挑戦する余裕があったが、忙しくなるとタバコを吸わないとやっていられない。完全に引退して、ストレスも何もなくなったら、もう一度、禁煙に挑戦してみようと思う。

今回の内閣改造の直後、私はタバコをやめるのをやめた。

やはりタバコはいい。体調は戻り、頭のキレもよくなってきた。私のような超ヘビースモーカーにとっては、吸わないと精神衛生上に悪影響を及ぼすと実感した。

私の職場である首相官邸もそうだが、2019年7月に施行された改正健康法で原則屋内禁煙と定められたことから、タバコを吸えない。そんな建物が増えている。そして、数少ない残されたオアシスである屋外の喫煙所もどんどん閉鎖されている。愛煙家にとっては死活問題である。これらは東京オリンピック・パラリンピック開催に向けての措置であることはいうまでもない。

何がスモークフリーだ、笑わせるな

国際オリンピック委員会(IOC)が禁煙を推奨していることは事実でる。1988年のカルガリー冬季五輪以降、「すべての大会関係者の健康と安全を守るため、スモークフリー環境とする、ノースモーキングポリシー(禁煙方針)は公衆衛生のレガシーの観点からも重要である」という禁煙方針を採択した。その後、2010年には世界保健機関(WHO)と協定を結んで「タバコのない五輪」を推進している。近年の夏季五輪は、競技会場の建物内での禁煙だけだったが、東京の組織委員会は競技会場の敷地内では建物外でも喫煙所を設けない「全面禁煙」とする方針を公表している。禁煙と定められた場所では、紙巻きタバコだけではなく、加熱式も禁止。愛煙家はオリンピックを観戦してはいけないと言われているようなものだ。

今回の東京と同様に、敷地内全面禁煙とした18年の平昌冬期オリンピックでは会場周辺の喫煙所以外の場所でタバコを吸う人が続出した。路上喫煙する人がポイ捨てした吸い殻が街にあふれて、大会後に組織委員会が問題視したほどだった。