学生の食いつきが普段とまったく違った

僕が派手な服を着るのは、出会った瞬間に相手の気持ちをぎゅっと「つかむ」ためです。ファッションには人の注意を引きつける力がある、そう気づいたのは今から22年前、京大教授に就任したときでした。ある日、授業の後すぐにパーティーに出るため、いつもより少し派手なオシャレをしていったら、学生の食いつきが普段とまったく違ったのです。

撮影=川隅知明
京都大学大学院人間・環境学研究科の鎌田浩毅教授

なるほど、見た目の第一印象で人の関心を捉えられるのか。そうわかってから、僕は授業では意識的に派手な格好をするようになりました。初めてテレビに呼ばれたときにも、真っ赤な服を着ていったらとても受けました。僕としては、自分が火山学者だからマグマを象徴する色を選んだのです。

2011年の東日本大震災以降は、幅広い方々に地学に対する関心を持ってもらうために、派手さを少しエスカレートさせました。日本は明らかに大地変動の時代に入っていて、35年を中心に±5年の間に南海トラフ巨大地震が起こります。何も備えをしなければ想定死者数は32万人、被害総額は220兆円にものぼるのです。日本が破滅しかねない大災害です。