愛知県一宮市のラーメン店「ばりばり軒」は誰もが参加できる朝礼と夕礼(夕方)を毎日行っている。内容はこんな感じだ。

・接客用語の唱和
「いらっしゃいませ」「ありがとうございます」といった一般的な接客用語のほかに「よかですか」といった博多弁の言葉も混じる。同店のラーメンはとんこつスープの博多ラーメンだ。店内に本場、博多の雰囲気を感じさせるための演出として接客用語に博多弁を使うのだという。また、唱和は大声で行う。従業員も一般の参加者も大声を出すことがストレスの発散になる。

・倫理の本の読み上げと感想の発表
仕事における倫理や道徳をテーマにした短い文章をみんなの前で読み上げ、参加者はそれぞれ感想を言う。自己表現の能力を高めるためのレッスンだ。

・連絡事項の伝達

・「ばり軒理念」の唱和
感謝の気持ちを持つ、プロ意識を持つ、元気な声を出しましょうという3つの理念を大声で唱和する。

「同じラーメンでも静かな場所で食べるのと、元気な声のなかで食べるのとでは味が違う」(宇佐美氏)

「同じラーメンでも静かな場所で食べるのと、元気な声のなかで食べるのとでは味が違う」(宇佐美氏)

朝礼自体は短く、10分間で終わる。社長の宇佐美貴康氏は「一般の参加者があるのは月に1度か2度です。わざわざ参加していただいたのですから、メニューのなかから好きなものを無料で食べていってもらいます。えっ、毎日参加する人がいたらどうするかって? それはそのときに考えます」。

ばりばり軒の前は交通量の多い県道だ。開店前の11時20分には駐車場に頭にタオルを巻いた従業員が出てきて、朝礼で大声を出す。車で走っている人のなかには、その様子が気になって、Uターンしてラーメンを食べに入ってくることもあるらしい。

「毎日、同じ時間にやっているから注目を集めるのでしょう」(宇佐美氏)

ばりばり軒の朝礼は知らず知らずのうちに、通りがかりの人たちへのプロモーションともなっているのだ。

(山口典利=撮影)