激務のフリーランス産科医は年収5000万円も余裕

2012年ごろは「外科医は外来や術後管理があるのでフリーランスはあり得ない」「(『ドクターX』に登場する)城之内博美のようなフリーランス麻酔科医はいるが、大門未知子のようなフリーランス外科医は存在しない」とされていた。

2019年現在、「フリーランス 医師」とネット検索すれば、上位表示されるのは整形外科医だ。しかし整形外科の中でも「膝のエキスパート」「肩と肘」など得意分野を絞って複数の病院で手術する医師が増えている。「ネットのクラウド上でスケジュールを管理」「手術前後にSNSで画像を見ながら遠隔症例検討会」など、ここでもインターネットの新技術による影響が大きい。

写真=iStock.com/maroke
※写真はイメージです

収入的には、産婦人科フリーランスがキツいが儲かる分野として定評がある。お産を扱うには365日体制で当直する必要があるが、科の特性ゆえに女医率が高く、「妊娠・出産・育児で当直免除」の施設も増えている。

その結果、「当直することを厭(いと)わない産婦人科専門医」は引っ張りだこで、産科当直料は上昇の一途である。2005年、三重県尾鷲市が年収5520万円で産科医を募集したことがニュースになったが、地方でキツい当直案件を多数こなせば、現在でも「年収5000万円の産科フリーランス」は可能である。

都会の「ゆるふわ女医」の労働単価は下降

一方、同じ産婦人科医でも「ゆるふわ女医」と呼ばれる「都会、特に東京都心の病院で平日昼間の簡単外来のみ」のパート女医は飽和状態の様相を呈していて、単価も下降している。

内科・精神科・訪問診療などもフリーランス医師を見かけるようになった。ただ、こちらの場合、年収や日給ではなく、「売上の○%」「胃カメラ1件○円」のような歩合制・出来高制で働くケースが多い。

地方の医師が不足している病院でも、フリーランス医師と契約するケースが増えている。2018年から「オンライン診療料」が保険適用となったので、今後はスマホなどを活用した遠隔診断でもフリーランス医師が活躍することが予想できる。