アマゾンの森林火災は過去最悪レベル
南米アマゾンの熱帯雨林で過去最悪レベルの森林火災が続いている。アマゾンの60%以上を抱えるブラジル政府は軍を動員して消火活動を続けているが、本稿執筆時点の2019年9月を過ぎても収束するめどは立っていない。
ブラジルの国立宇宙研究所の発表によれば、19年年初から13万1600件以上の森林火災がブラジル国内で発生したという。2018年が約4万件だから、3カ月を残して前年の3倍以上の火災が発生したことになる。1月から8月までの焼失面積はブラジル国内だけで約4万3000平方キロメートル以上。九州より広い規模の森林が失われたのだ。
アマゾンの7月から10月上旬は乾期で、例年森林火災が発生しやすいが、19年の頻発ぶりは異常だという。山火事の原因は落雷や木々が擦れ合って発生する摩擦熱など自然発火もあるにはある。しかし、多くの場合はたき火による失火や放火などの人災だ。
アマゾンの森林火災の原因もほぼ人災である。熱帯雨林のような高温多湿の環境では、火災が発生しても時間経過とともに自然鎮火するのが普通だ。しかし、アマゾンでは木材を得るために、あるいは農地や牧草地にするために森林伐採が行われてきた。伐採されて木が減少するとジメジメとした多湿環境が崩れて乾燥し、火災が起きやすくなる。