現代人を悩ませる認知症やうつ病。医学博士の古川健司氏は、「予防や改善には、食生活の見直しも大切だ。ビタミンDにそれらの症状を改善する効果があると研究でわかってきた」という――。
※本稿は、古川健司『ビタミンDとケトン食 最強のがん治療』(光文社新書)の一部を再編集したものです。
ビタミンDがうつ病を改善することがわかってきた
うつ病などの精神疾患が猛烈な勢いで世界に広がっています。
2017年、WHO(世界保健機関)が発表した世界のうつ病患者さんは、全人口の4.4%に当たる3億2200万人。55~74歳の発症率が最も高く、2005年から18.4%も増加しているとしています。
うつ病の大きな問題は、若年層の発症率が上昇傾向で、世界の自死者78万8000人のうち、うつ病が引き金と見られるものはその1.5%に当たります。なかでも15~29歳の若年層の死因の2番目が自死という現状。これは、うつ病が解決されなければならない世界的な重大課題であることを物語っています。
実は、ビタミンDにはうつ病を改善する作用があることもわかってきました。うつ病は、脳内の神経伝達物質の不活性化がもたらす疾患ですが、ビタミンDの受容体が脳内でも前頭前皮質や海馬、視床、視床下部などの部位に多く発現しているのが確認されています。
その結果、ビタミンDが脳を酸化ストレスから保護する一方、ドーパミンやノルアドレナリンといった神経伝達物質の働きを改善させる働きがあることが明らかになったのです。