オバマ氏の演説がうまく耳に入る仕掛け
せっかく聞き手が反応しているのに次に進んでしまっては、出鼻をくじかれたように感じて、聞き手とのキャッチボールの機会を失ってしまいます。聞き手が笑ったり、拍手をしたり、あるいは驚いたりした時には、間を取ることで共感させてあげる役割があります。
間の取り方といえば、オバマ元大統領がその達人でした。彼のスピーチは間の取り方、変化のつけ方が抜群にうまかったのです。
たとえばオバマ大統領が決めゼリフをいって、そこにドッと観衆がわき、拍手をする。
そこで彼は間を取って、観衆が拍手をしたり、声をあげたりする時間を与えるわけです。
逆に、観衆の反応が少なかった時でも、ここが重要ポイント! というようにしっかりと間を取ると、逆に観衆から反応を引き出せるのです。話し手であるオバマ元大統領も間を取ることで、とても自信に満ちて、その場をコントロールする余裕があるように映っていました。
このように「間」をコントロールするテクニックは、グッと話し手のレベルをアップさせます。
話し手が考えているほど沈黙は長くない
といっても、スピーカーにとっては、間を取ることは非常に勇気がいります。たった3秒くらいの沈黙でも、スピーカーにとっては非常に長く感じ、不安になったりあせったりするものです。
ある時セミナーで公開個人コーチングをした際に、クライアントに間を取るようにアドバイスしたのですが、一瞬間があいただけでまた先を急いでしまいました。再度指摘すると、ご本人は、「今ものすごく間を取りました!」とおっしゃいます。
しかし他のセミナー参加者に尋ねてみると、全員口をそろえて、「全然間がなかった!」と答えました。
間を取ることになれないと、話し手にとっては、永遠に続く心地悪い沈黙のように感じられますが、聞き手にとっては、実はちょうどいい長さなのです。思い切って、心の中で3秒数えてみてください。
聞き手にコンセプトを理解してもらいたいとき、何らかの反応を得たいとき、考えてもらいたいときなど、つぎに移行する前に、しっかりと「間」を取る工夫を取りいれましょう。