また経済産業省は輸出管理上の国別カテゴリーを見直して、輸出手続き簡素化の対象となる「ホワイト国(グループA)」から韓国を除外する方針を明らかにした。ホワイト国とは、簡単に言えば、輸出管理を徹底して軍事転用の恐れのある危険な物資を無闇に世界に流さないように努力している、と日本政府が認めた国のことだ。ホワイト国に対しては規制を最低限にとどめて、効率よく輸出できるように取り計らわれる。

まるで尻尾を踏みつけられたような文大統領の反応

日本がホワイト国に指定しているのは欧米の先進国を中心に世界27カ国。アジア圏では唯一韓国だけが該当国だった。非ホワイト国への輸出は契約ごとに個別許可が必要で、許可を得るまでに最大90日かかる。審査が長引けばもっと日数がかかるし、場合によっては輸出許可が下りないこともありうるわけだ。

韓国に対する輸出管理を厳格化する理由について、経済産業省は「韓国との信頼関係の下に輸出管理に取り組むことが困難になっている」、さらには「韓国に関連する輸出管理をめぐり不適切な事案が発生した」と説明している。

「不適切な事案」とは何か。日本からの輸出品が韓国経由で北朝鮮やイラン、シリアに流れたケースなど推測できることはいくつかあるが、経済産業省は「守秘義務」を理由に具体的な内容を明らかにしていない。韓国がWTO(世界貿易機関)に提訴するなど、今後の展開次第では「不適切な事案」の内容が明らかになってくるかもしれない。

自由貿易論者の私からすれば、日本のやり方は正しいとは思えない。しかし、まるで尻尾を踏みつけられたような文在寅大統領の反応を見るにつけ、断固たる姿勢を示すことも時に必要と思えてくる。

李舜臣はわずか12隻で国を守った

徴用工問題や慰安婦問題では木で鼻をくくったような対応しかしてこなかったのに、今回の日本の措置には過剰に反応して国家存亡の危機であるかのように騒ぎ立て、「李舜臣はわずか12隻で国を守った」と豊臣秀吉の朝鮮出兵にまつわる逸話まで持ち出して対決姿勢を煽った。

なぜ大統領が「国家の非常事態」とギャンギャン騒ぎ立てるのかは、ほとんど理解不能である。半導体材料の輸出規制については、韓国の半導体産業の主力であるメモリー関連の材料は規制対象になっていない。それに日本のメーカーの海外拠点からの輸出も規制の対象外だ。だから影響を受ける韓国企業のほうは、それほど騒ぎ立てていない。影響が少なくなるように複雑な手当てを粛々と進めて、努めて冷静に対処している。

ホワイト国からの除外にしても、同じアジアのASEAN諸国などは非ホワイト国でも日本と良好な交易関係を維持しているわけで、韓国も同じ立場の「普通の国」に戻ってもらうというだけのことだ。