大学や研究機関も“肉ばかり”の生活に警鐘
肉食のリスクと植物性の食事のメリットを訴え、若者に最も大きな影響を与えているのもやはりドキュメンタリー映画だ。
「フード・インク」では劣悪な環境で育てられる牛による大腸菌への感染リスクや、抗生物質の大量投入による人体への影響などが警告されている。
また「フォークス・オーバー・ナイブス」では、肉をやめてプラント・ベースト・フード(植物性の食品)、ホールフーズ(加工や精製されていない食品)を食べることで、肥満症や生活習慣病を予防、治癒することができたという内容で、大きな支持を得ている。
一方で、牛肉を中心とした赤身肉自体の健康リスクはかなり前から言われていたが、2012年にハーバード大学が発表した大規模な研究結果では、赤身肉の食べ過ぎが糖尿病、心臓疾患、ある種のがんとの関連があることが示されている。
また世界保健機関(WHO)は2015年、ハムやベーコンなどの加工に使われる化学物質には発がん性物質が含まれ、多く食べるとがんになるリスクが上昇すると発表。
今年、医学誌『ランセット』で発表された研究結果では、肉と砂糖の摂取量を半分にするだけで、世界で心臓病や糖尿病で亡くなる人の数が毎年1000万人減らせるというもので、大きな注目を集めた。
食べるものを変えたら便秘や頭痛がなくなった
逆に植物性の食生活に切り替えることのメリットも多く研究されるようになってきている。アメリカの栄養学の専門誌『アメリカン・ジャーナル・オブ・クリニカル・ニュートリション』に発表された研究によれば、ベジタリアンの食事は食物繊維や葉酸、ビタミンC、E、ポタシウム、マグネシウムが豊富。特に動物性食品を一切とらないヴィーガンの人はコレステロール値も血圧も低いとしている。
こうした情報はネット上でいくらでも見つけることができ、若い世代の食に影響を与え続けているのだ。
では実際にヴィーガンになったミレニアル世代やZ世代は、自分たちの健康をどう感じているのだろう?
前出のヴィーガン歴7年の女性は、「1番よかったことは、自分が食べているものに対して非常に注意を払うようになったことです。これまで食べていたものを見直すことで、なぜ便秘や頭痛、疲労などの症状が起きていたのかを知りました。こういった症状はヴィーガンになって全てなくなりました」