写真=市来 朋久

担当者が、1日中おすすめ投稿をチェック

3つ目は、インスタグラムの中で丁寧なコミュニティ運営をしていることです。われわれの提唱するハッシュタグ「#フーディーテーブル」で旧タグと合わせて400万件近く発信してもらっていますが、そこから“おすすめ投稿”を3本厳選して、公式アカウントから再投稿します。この選定に心身を集中させています。担当者は腱鞘炎になりそうなくらい1日中スマホをチェックし、編集者の視点と生活者の視点から、すてきな写真を選び出します。

さらに、編集部がコメントを添えて投稿するときに、投稿者が最も喜んでくれるコミュニケーションを徹底的に追求します。たとえば投稿者が野菜の「なす」をひらがなで書いているのか、カタカナで書いているのか、漢字で書いているのかチェックし、ひらがなの「なす」と確認して「なすのレシピおいしそうですね♪」とコメントをする。お子さまの呼び方も投稿で確認し、「××ちゃんが喜んでくれてよかったですね」とコメントを書くようにしています。事業収入は、「レシプブログ」と同じく、マーケティング事業とプロモーション事業で成り立っています。

「なぜ、ユーザーから指摘があったのか」を話し合う

食品ECサイト紹介事業も料理インフルエンサー事業も、ユーザーとの心からのコミュニケーション、信頼関係を大切にしてきました。今もその姿勢に変わりはありません。どういうことを意識し、社内でどういう取り組みをしているか、いくつか紹介します。

1つは、アイランドで「P.S.(追伸)文化」と呼んでいるのですが、ショップやユーザーなどに対応するときに、問い合わせで答えを返信しておしまいとせず、「P.S.」で何かコメントを添えるのです。「最近作られた試作品はおいしそうでしたね」。そういう一文で、私たちはあなたの動向をいつも見ていますよ、と伝えるよう心がけています。

もう1つは、感情的な指標を社内で共有するようにしていることです。ネットビジネスではKPI(キー・パフォーマンス・インジケーター)という指標があり、PVがいくらで、コンバージョンがいくらで、目標に対してどのくらい達成できているかを数値化したものです。アイランドはKPIだけでなく、エモーショナルなことを測る指標も大事にしています。私たちで勝手に名づけたものですが、ワクワク・パフォーマンス・インジケーター、略してWPIです。ユーザーから「うれしい」というコメントが届きましたとか、ショップから温かいメールをもらいましたとか、そういうWPIを社内でシェア(共有)する文化になっています。

また、社内横断的な「グッドコミュニケーション委員会」を設けています。ここでは、たとえばユーザーさんからスタッフのユーザー対応についてご指摘があったケースなどをシェアして、本当はどうしたらよかったのかを話し合う場です。社員30人ほどの会社ですが、こういう文化の積み重ねることで、ユーザーさんとの心からのコミュニケーション、「エモい」交流がしっかりと続いているのだと思います。