おまえ、ボンボンやろが
トヨタカローラ福岡(カローラ福岡)は、1937(昭和12)年に、祖父・金子道雄が創業し、主に自動車販売やバス・タクシーなど運送事業を中心に発展した「昭和グループ」の一員だ。その後、父・宜嗣(現・名誉相談役)を経て、現在は私が社長を務めている。福岡市内をはじめ、北九州、筑後の各エリアにカローラ店など33店舗を展開している。
地元では少しばかり名の知れた企業だったため、小さい頃は「おまえ、ボンボンやろが」などと、友人たちにからかわれたものだ。だから若い頃は、金子という姓があまり好きではなかった。一日も早く、自分の力で生きていきたいとの思いから東京に出て、トラックの運転手として働いていた。それはとても、充実した日々だった。
ところが、仕事に向かう途中に大事故に遭い、頸椎複雑圧迫骨折という重症を負い、人生が急転した。治療・リハビリを経て社会復帰するまでには、2年半もの時間を要した。絶望の中でもがいていたとき、支えてくれたのは、両親、兄弟、妻だった。とくに妻には感謝している。
私はこのとき初めて「人間は、一人では生きていけない」と実感した。支えてくれる家族に報いたいという思いから帰省し、グループで経営していた石油会社、ホテルを経て、カローラ福岡に入社したのである。