EV、自動運転、シェアリング、他分野からの参入など、自動車業界を取り巻く状況は大きな転機を迎えている。高齢化や、若者のクルマ離れも深刻となり、ディーラーは生き残りをかけしのぎを削る。トヨタ系列の販売店には、2020年5月に「全車種併売化」という大変革が待っている。そんな中、「社員もお客様も、みんなが笑顔になる取り組み」に活路を見いだし、全国トップクラスの売り上げを誇るのがトヨタカローラ福岡だ。社長の金子護さんに、好調の秘訣を聞いた——。
撮影=小川 聡

おまえ、ボンボンやろが

トヨタカローラ福岡(カローラ福岡)は、1937(昭和12)年に、祖父・金子道雄が創業し、主に自動車販売やバス・タクシーなど運送事業を中心に発展した「昭和グループ」の一員だ。その後、父・宜嗣(現・名誉相談役)を経て、現在は私が社長を務めている。福岡市内をはじめ、北九州、筑後の各エリアにカローラ店など33店舗を展開している。

地元では少しばかり名の知れた企業だったため、小さい頃は「おまえ、ボンボンやろが」などと、友人たちにからかわれたものだ。だから若い頃は、金子という姓があまり好きではなかった。一日も早く、自分の力で生きていきたいとの思いから東京に出て、トラックの運転手として働いていた。それはとても、充実した日々だった。

ところが、仕事に向かう途中に大事故に遭い、頸椎複雑圧迫骨折という重症を負い、人生が急転した。治療・リハビリを経て社会復帰するまでには、2年半もの時間を要した。絶望の中でもがいていたとき、支えてくれたのは、両親、兄弟、妻だった。とくに妻には感謝している。

私はこのとき初めて「人間は、一人では生きていけない」と実感した。支えてくれる家族に報いたいという思いから帰省し、グループで経営していた石油会社、ホテルを経て、カローラ福岡に入社したのである。