写真提供=トヨタカローラ福岡
「KEY⑩Music」のオーディションで選ばれた10組のアーティスト。オムニバスCDを制作し、2万枚を配布する。

あなたのファンをつくってほしい

近年、「若者のクルマ離れ」が話題となっているが、私たち販売店も変化を実感している。昔は、春先になると「大学入学祝いにクルマをプレゼントする」と、親子が一緒に来店する姿が見られたが、今ではほとんど見かけることはない。若者が、車に魅力を感じなくなったり、興味持つことが少なくなったりしているのだろう。私たちがもっと車に興味を持ってもらえる取り組みを行わなければならないと感じている。

こうした背景から、2016年に「ファンづくり事業部」を設立した。この部署のさまざまな取り組みを通して、より多くの人にカローラ福岡を認知してもらい、車に興味を持ってもらいたい。さらには、カローラ福岡のファンを増やしていきたい。

「ファンづくり事業部」には、スポーツや音楽、モータースポーツなどの活動があるが、カローラ福岡の社員なら誰でも「仕事」として参加できる。業務時間を使って活動し、活動にかかる費用は会社が負担する。例えば、「野球部」は試合に出るだけでなく、中学校の野球部にコーチとして参加している。「KEY⑩Music」は、オーディションを通して、福岡の才能あるアーティストたちを発掘し、独創性あふれる彼らの楽曲を1枚のCDに収めてリリースするプロジェクトを行っている。また、音楽フェスに協賛し、ブースを設け車両展示なども行っている。

モータースポーツは、ドライバーだけでなくエンジニア、サポートメンバーも含め大人数で全国の大会に参加している。活動費用もかかるため、最初は誰にも理解してもらえなかったが、「地域貢献になる」「ファン獲得につながる」と説明すると、しだいに理解者が増えていった。

参加する社員たちには「まず、あなた自身が全力で楽しんで、その姿を見てもらうことで、あなたのファンをたくさんつくってください。そしてお客様と一緒に楽しんでください」と伝えている。彼らのファンが店を訪ね、車の楽しさを感じてもらい、カローラ福岡のファンになってもらえたら、「ファンづくり事業部」の試みは成功というわけだ。今まで当社を知らなかった人たちにまず知ってもらうためにも、多種多様な活動をこれからも続けていきたい。

お客様を笑顔にできるなら、何をやってもいい

私は、社員だけでなくパート、アルバイト、再雇用の方も含め、すべての従業員が自分の得意なことを活かして輝ける場をつくり、やりがいを持って働ける会社を目指している。そして、「今日も一日楽しかった。明日も頑張るぞ!」と言える環境をつくらなければいけないと考えている。

カローラ福岡では、「縁する人を笑顔にする」という想いを掲げて、日々活動している。私は、日ごろからスタッフに「経営理念を遵守していれば、何をやってもいい」と話している。そのため、何か新しい試みを始めようというときには、「これをやることで、誰が笑顔になるのか?」がモノサシになる。反対に「誰も笑顔にならないことは、どんなに長く続いている習慣でもやめよう」となる。まず、私たちが笑顔になり、どうすれば笑顔が広がるかを真剣に考え、活動していくことが大事だと考え、伝えている。

店づくりに関しては店長に裁量を与え、任せているが、スタッフたちが「お客様が笑顔になる取り組み」を企画立案して、実際に行っている事例が非常に増えてきた。スタッフが「たくさんのお客様に喜んでいただきました」と笑顔で、私に報告してくることもある。「縁する人を笑顔にする」という想いがスタッフに浸透し、活動できていると実感でき、うれしく思う。このような日ごろの活動も、カローラ福岡のファンづくりにつながっていくはずだ。