写真=市来 朋久

13年後に花開いた、トライブの芽

ユーザーの方々の動きをみていると、大きなヒントがあると考えるようになりました。今の時代、職場や地域を越えて、共通の興味、関心を持つ人たちがネットに集まってきます。その集まりを「トライブ」というのですが、元々部族を意味する言葉で、興味、関心の程度によって、大小のさまざまな「トライブ」が生まれています。

ここに来て、大きく伸びてきたのが当社の朝型ライフスタイル提案サービス「朝時間.jp」です。「朝型の生活をしたい」という大きなトライブが盛り上がりを見せているのです。ヘルシー志向や働き方改革といった背景がありますが、一言でいえば、「朝時間をうまく使いたい」という人のコミュニティが育ってきている。時代に合っていて、人を幸せにできる、とても面白いサービスになってきました。

LINEのお友だちは、100万人を超えていて、朝6時にプッシュ通知を送ります。こんな時間に通知を送って、叱られないのは私たちだけではないかと思っています。朝に行うイベントを告知したいとき、「朝時間.jp」しかメディアがないね、とクライアントに言っていただけるようにもなっています。

自腹を切っても、創りたいサービスか

実はこの「朝時間.jp」、サービス開始から13年がたっています。これまで大きな儲けは出ていませんでしたが、私たちになりの信念があって、独自の立ち位置で育ててきた先に、10年を過ぎた頃やっと小さな花が咲きました。小さな会社だからできたことです。他社さんが同じビジネスを続けようと思っても、事業規模が小さすぎて継続判断が難しい。小さなビジネスを大切にできるのは、ライフスタイルベンチャーのよいところなのだと思います。

朝時間.jp」もそうですが、私は新しいサービスを検討するとき、「自腹を切ってでも創りたいか」を基準にしています。そう思える限り、それがすぐに儲からなくても、長い間小さなビジネスであり続けても、地道に育てていけば、いつか花開くと信じています。

(構成=島影真奈美+松浦達也(馬場企画))