食べログの検索で「データセンス」を磨く
飲食店の検索・予約サイト「食べログ」。店探しに利用している読者も多いのではないか。私もよく使う。食べログにはいろいろな検索機能があるが、その1つがスマホで現在地の周辺で店を検索できるというもの。友達と飲むことになったときなど、いまいる場所の近くにどんな店があるのかを探すのに便利だ。検索範囲は500mが標準設定されているようだが、300m、800m、1km、3km、5km、10kmと設定を変えられる。
たとえば、当社の本社がある渋谷第一教室(東京都渋谷区渋谷3丁目)で居酒屋を検索すると、300mで461軒の店がヒットする。500mだと1270軒、800mでは2719軒となる。この数字を見て少し不思議な感じがしないだろうか。300mと500mでは距離は約1.67倍なのに、店の数は約2.75倍に増える。800mだと約2.67倍離れるが、店の数は約6倍にもなる。
どういうことか。答えはエリアの面積と関係する。ここでの範囲とは300mなら、検索地点を中心に直線距離300mという半径で描かれた円なのだ。では、300mと500m、800mの面積を見てみよう(図)。円の面積は「半径×半径×π(3.14)」で求められるが、ここでは3つの円の比をざっくり「300×300:500×500:800×800=9:25:64≒10:25:60」ととらえる。そうすると半径300mの円の面積に対し、500mは2.5倍、800mは6倍の広さになっていることがわかる。なるほど確かに店舗数の増え方とほぼ一致する。
つまり、距離の比の値に対して店の数は、その2乗の割合で増えているのだ。たとえば距離が2倍の場合は、お店の数は4倍になるということである。これは渋谷という過密な地域性も関係しているだろうが、理論上はそういう計算になる。
このことからわかるのは、もし300m圏内でよさそうな店が見つからなかったときは、500m、800mと範囲を広げていけば、ヒットする可能性が格段に大きくなるということだ。
なかには距離が遠くなるのはイヤだという人もいるだろう。しかし、食べログに表示された距離と時間の関係を見ると、「徒歩1分=80m」と計算できる。すなわち300mは徒歩4分という近い距離だ。表示されているものが直線距離のため、実際はもう少し歩かなければならないが、さほど苦にならないのではないだろうか。