セールを行うときは大々的に実施

コスト削減策はまだまだある。段ボールのまま商品を陳列したり、特別サイズの冷凍ケースや陳列棚を導入して、箱の中の商品を一度に全部出せるようにしたりすることで、手間を省き人件費の削減につなげている。また、EDLPにすることで、セールと紙のチラシを組み合わせた販促をせずに済む。広告宣伝費と人件費が抑えられるわけだ。

ただし、セールを行うときは大々的に行う。昨年9~10月には最大約30%引きのセールを実施し、リトアニアから直輸入した「アイスチーズケーキバー」を1個48円(税抜き)という驚異的な安さで販売した。

6月のセールチラシ(業務スーパーHPより)

さらに、輸入食品を多く扱う業務スーパーならではのセールとして16年9~10月には最大で30%引きとなる「円高還元セール」を実施。このように、ここぞというときは大規模なセールを実施し、安さをアピールしている。

ユニークさで勝手に記事になる

この安さとユニークな品ぞろえから、業務スーパーはテレビや雑誌などのメディアでも人気だ。業務スーパーで売られている商品を使ったレシピや、お得な商品情報などは頻繁に取り上げられる。ネット上でも、「業務スーパーの◯◯がお得」といった記事は枚挙にいとまがない。メディアがタダで宣伝してくれることで、広告費を抑えることができる。

800を超える店舗数の多さも、低価格の源泉となっている。この規模を背景とした交渉力を生かし、仕入れコストの低減につなげているのだ。

業務スーパーがここまで店舗数を急拡大できたのは、日本のスーパー業界ではほとんど例のなかったフランチャイズ(FC)システムを取り入れたことが大きい。業務スーパーはFC店がほとんどで、直営店はわずか2店にすぎない。

業務スーパーは、1000店を目標として今後も出店を拡大していくとしている。現在の勢いを考えれば、達成は十分可能だろう。今後のさらなる成長に期待したい。

佐藤 昌司(さとう・まさし)
店舗経営コンサルタント
立教大学社会学部卒業。12年間大手アパレル会社に従事。現在は株式会社クリエイションコンサルティング代表取締役社長。店舗型ビジネスの専門家として、集客・売り上げ拡大・人材育成のコンサルティング業務を提供している。
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