直輸入と自社工場で低価格を実現

PB商品も豊富だ。国内の自社グループ工場で製造した加工食品や調味料、デザートなどさまざまな食品を取りそろえている。売れ筋は「徳用ウインナー」「上州高原どりもも肉」「吉備高原どりもも肉」「天然酵母食パン」だという。PB商品の割合は3割にも上る。

業務スーパーは「エブリデー・ロー・プライス(EDLP、毎日安売り)」をコンセプトとし、価格の安さを徹底しているが、この安さには理由がある。

輸入食品は海外の工場と直接取引し、大きなコンテナでまとめて直輸入している。直接取引なので、輸入商社や卸など中間業者にかかるコストを省くことができる。その輸入量は1年間で富士山約7個分に相当するそうで、スケールメリットを発揮してコストを削減することもできる。こうして低価格を実現しているのだ。

PB商品は、国内に21ある自社グループ工場で製造している。北海道には広大な自社農場を構え、ジャガイモやカボチャ、ニンジンなどを栽培。一部を商品の原材料として使用している。岡山県と群馬県には養鶏場を構え、併設の加工工場で鶏肉商品を製造。24時間以内に店舗に出荷して販売している。そのほか、製パンや食肉加工など多様な工場を抱えており、オリジナリティーあふれる商品を低コストで生産・販売することができている。

一方、NB商品は卸を通さずにメーカーから直接仕入れることで、こちらも中間業者にかかるコストを削減し、低価格を実現している。

コスト削減策が販売促進につながっている

また、常温・冷凍食品など賞味期限の長い食品を多く扱うのも特徴だ。このため廃棄などで発生する損失や作業コストが少なくて済む。野菜や肉も冷凍商品を充実させることで、廃棄ロスにつながりやすい生鮮品に頼らない運営を可能にしている。

既存の商品ラインの有効活用も、圧倒的な低価格の源泉になっている。業務スーパーの商品で、ときおりSNS上で話題になるのが1リットルの紙パックに入った水ようかんやプリンといったスイーツだ。これは牛乳パックの応用であり、容器コストの削減につながっている。

豆腐パックに詰めて販売されている冷凍チーズケーキもある。これも見た目のユニークさから、ネットで話題になった。豆腐の製造ラインを活用して製造されており、設備の稼働率を上げることができるので、生産にかかるコストの低減につながっている。コスト削減の策がそのまま販売促進につながっている好例だ。