「静岡県が大好きな人」ではなかった
「シズラーはご存じですよね?」
編集担当のI氏からそう言われた時、私はシズラーのことを「静岡県が大好きな人」と思っていた。安室奈美恵のファンを“アムラー”と呼び、マヨネーズが好きな人を“マヨラー”と呼ぶのなら、“シズラー”は静岡県が好きな人に決まっている。お茶やシラス丼を本気で愛している人たちのことをシズラーと呼ぶのだろう。
「あぁ、シズラーね」
「今、すごい人気なんですよ」
そう言われて「へー」と納得した。世界遺産に登録された富士山の影響もあるのだろう。訪日客も増えているので外国人のシズラーが増えているのかもしれない。
「ぜひ、シズラーを取材してほしいんです」
「なるほど。そうなると静岡への出張となりますね」
「……竹内さん」
「なんでしょうか?」
「何かとてつもない大きな勘違いをしていませんか?」
実はI氏が言っている「シズラー」とは、英語表記で「Sizzler」。サラダバーと肉料理のビュッフェ形式のレストランの名称である。1958年にカリフォルニアで創業。世界5カ国で展開している。日本のシズラーは1991年にロイヤルが東京西新宿にオープンした。旬な野菜をはじめ、フルーツ、パスタなど約70種類の料理が食べられる“プレミアムサラダバー”が人気を呼び、今では東京や神奈川に10店舗を構える。
「シズラー東京国際フォーラム店」を訪れた
流通ニュース(「シズラー/東京国際フォーラムに客席数210席のアジア最大店舗」2019年4月3日)によると、シズラーの業績は2012年を100%にした場合、2018年既存店伸び率は29.4%増。I氏が言う通り人気急上昇中であることは間違いないようだ。
千葉県のど田舎に住んでいることもあって、シズラーが東京ではやっていることをまったく知らなかった。静岡への出張がなくなったことは残念だったが、東京のはやりのレストランに行けるのなら結果オーライというところもあり、今回の取材を快諾することにした。
訪れたのは有楽町駅前にある「シズラー東京国際フォーラム店」。4月5日にオープンしたばかりのお店で店舗面積は686平方メートル、席数は210席を構える。金曜日の夜ということもあって店内はほぼ満席。10分ぐらいの待ち時間の後、広い店内の一番奥の席に通された。周囲を見渡すと8割は若い女性客。“サラダバー”というコンテンツがいかに丸の内の女性たちに支持されているのかがよく分かる。
メニュー構成は至ってシンプルだ。サラダバーのみの注文ができて料金は税別2480円。これにステーキなどのグリル料理を加えて3000~4500円の価格帯となる。ソフトドリンクは飲み放題だが酒類は別料金。ランチタイムや祝祭日、子どもやシニアなどによって価格差はあるものの、ディナーであれば2500円ぐらいのサラダバーに、500~1500円の追加料金で肉料理が一緒に食べられるビュッフェスタイルになっている。