外国人のハートを掴む、日本文化の極め方
曽祖父が1914年に開業した星野温泉旅館は、中軽井沢という土地柄もあって、北原白秋や与謝野晶子といった文化人にも親しまれていました。そんな環境に生まれ育ったにもかかわらず、家族から教養を身につけろといわれた記憶はありません。
教養らしきものを最初に意識したのは、米コーネル大学ホテル経営大学院における最初のレセプションのときです。いつもはTシャツとジーンズというラフな格好で授業を受けていましたが、これには学生も正装で参加すると聞き、その日はスーツで登校しました。
ところが、会場に入ると、私以外の留学生は誰もが自分の国の伝統的な衣装を纏っているではありませんか。自国の文化に誇りを持っているならそれが当たり前なのに、日本人の私だけが、正装は西洋文化を真似ることだと思い込んでいました。クラスに日本人は私ひとりでしたから、みな日本人の正装を目の当たりにするのを私に期待していたのに、それを裏切ってしまったのです。
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