相手にイラっとしたときに使える「メタ認知」とは
2つ目は、話を聞く側の態度を変えること。私自身も実践している「王道の技」があります。
まずは、相手の話を「傾聴」してみます。「傾聴」とは、心を込めて耳を傾け、相手の話を興味深く聴こうと心がけること。これも対話のポイントの一つです。
私も、昔は話が長い人や要点がまとまっていない人と話していると、「もっと簡潔に話せよ」とイライラすることもありました。
しかし今は、じっくり相手の話を聞いた後で、「この人は過去に何かあって、こういう話し方になってしまったんだろうなあ」と冷静に相手の立場に立って判断できるようになりました。
このときに冷静になる一番の方法は、「メタ認知」という方法です。
自分の感情を客観的に、外側から見てみるのです。
相手の話を聞いていて自分の心がイラっとしてきたら、それも客観的に観察します。
「あ、自分は今イライラしているぞ。これはサインだ」と考える。そしてその瞬間、自分は目の前にいる人の話を聴きたくてたまらないのだという傾聴のモードに「あえて」変換してみます。意識して、その人の話に溶け込むようにするのです。
自分がイラっとしてきたときほど自分の感情にとらわれずに、自分の意識を相手に集中し直す。すると、相手は自分の話をしっかりと聞いてくれることがわかると安心するのか、言いたいことが伝わったと思うのか、その後の話が短くなることもあります。
また、聞く側もイラっとしていませんから、それまでほど話が長いとは感じません。
幸せな社員は創造性が3倍高い
つまり、相手は簡単には変えられないので、自分が変わるべきだということ。
こちらが変われば、相手も徐々に変わっていくのです。人によって変化速度は異なりますが。
そのように自分の心の動きを客観的に見つめることを繰り返しているうち、周囲の言動によって、すぐに腹を立てることやイライラすることが徐々に減っていきます。嫌な上司の自慢話も、自分の傾聴とメタ認知のためのトレーニングと考えてみてはいかがでしょうか。
「経営陣からは新規事業開発や事業イノベーションを求められるが、簡単に良いアイデアが生まれるはずがない。現場は日々の業務をこなすのに精一杯で、そんな余裕もない」【40代・メーカー】
幸せな社員は不幸せな社員より、創造性が3倍高い。エド・ディーナーらの論文によると、幸福度の高い人はそうでない人に比べて、創造性は3倍、生産性は31%、売り上げは37%高い傾向にあります。
また幸福度の高い人は、職場において良好な人間関係を構築しており、転職率・離職率・欠勤率はいずれも低いという研究データもあります。
こうした創造性の研究結果からもわかるように、幸せとイノベーションは相関しています。つまり、イノベーションの起きる職場は幸せな職場、イノベーションが起きない職場は不幸せな職場とも言えます。