「ダ埼玉」の所沢で億ションが完売した

地盤ネットのデータをみると、関東平野の北西の方向に行くほど地盤が強い土地が多いようです。西武線沿線では石神井公園(池袋線、東京都練馬区)、大泉学園(同)、埼玉県の所沢(同、新宿線)などが都内トップレベルの地盤の強さを誇っています。

西武線沿線の地価は、他の沿線に比べ残念ながら少し安い。それなのに地盤は固いのですから、基礎工事の費用は少なくなります。今後、沿線の住宅地の競争力は増すとみています。

――首都圏にはいずれ大地震が来るといわれています。他の沿線から人が移ってくる動きはありますか。

まだそういった動きははっきりとは出ていませんが、西武線沿線の魅力を高めれば、防災上の利点と相まって移り住む人が増えていくでしょう。すでに沿線の各所で連続立体交差事業を進め、いわゆる「開かずの踏切」の解消に努めています。安全で住みやすい沿線をつくり、新しい人の流れをつくっていきたいと思っています。

沿線全体としては新しい人の流れづくりはまだ緒に就いたばかりですが、所沢はずいぶん変わってきました。

――所沢というと「ダ埼玉」の典型のように思われているのではないでしょうか。

1日当たりの乗降人員は2017年3月期に初めて10万人を超え、乗降客が増えてきました。医療器具メーカーの開発センターが移り、昼間人口が増えた上、駅周辺の商業施設の開発が進み、周辺部からの流入が膨らんでいます。駅西口の車両工場跡地を含む約8.5ヘクタールの土地で再開発事業が進んでいますが、住友不動産が売り出した「億ション」が完売しました。

撮影=安井孝之

ドームと横アリの連携で沿線を活性化

――所沢で億ションが売れているとは驚きです。

駅から徒歩数分のマンションで、東京・大手町にも小一時間で通勤できます。駅周辺の再開発で所沢のイメージは一変すると思います。周辺には緑が多く、地盤もやはり固い。また、所沢の近くにあるメットライフドームの整備に2021年3月までに約180億円を投入します。ドームエリアが良くなり、大きなコンサートもどんどんできるようになり、この5月11、12日の土日にはサザンオールスターズのコンサートを開催しました。

2017年には、横浜アリーナを子会社化しました。横浜と埼玉のメットライフドームとを連携させながら、より多くのイベントが開催できるようになったのです。

――西武線沿線は、これまで都内ではおしゃれなイメージはあまりなく、小田急線沿線や東急線沿線に比べて魅力がないように思われていたのは事実です。皮肉な見方をすれば、他の沿線に比べ未開発な部分が多かったので、むしろ今では開発余地が残っていたということですね。しかも地盤が固い。

近年防災意識が高まっているので、私も沿線の地盤の固さは色んなところでアピールしています。