「教科書は大人になってから読み返すとおもしろい」。落第生を自認していた詩人の萩原朔太郎はこう述べた。中高の教科書は教養の手がかりとして大事だが、日本社会ではもっと積極的な意義があったとフランス文学者の鹿島茂氏は指摘する。それは何か。「プレジデント」(2019年6月3日号)の特集「会話に使える『教養』大全」より、記事の一部をお届けします――。
萩原朔太郎も教科書を懐かしんだ
大正時代に活躍した詩人・萩原朔太郎は「教科書は学生のときに読むとつまらないが、学校と関係なくなってから読むと大変おもしろい」という意味のことを述べています。
朔太郎自身は学校へろくに行かない劣等生で、旧制前橋中学を落第、旧制高等学校に進みはしたものの結局は中退しています。そんな勉強嫌いの詩人でも、学校を出た後で振り返ると、教科書の中身には惹かれるものがあったのでしょう。私もその通りだと思います。教科書というものは試験のために内容を覚えようとするから嫌いになるのであって、授業や試験という制約なしに読めば大人のための優れた教養書です。
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「プレジデント」(2019年6月3日号)の特集「会話に使える『教養』大全」は、本稿のほか、出口治明氏・竹中平蔵氏・御立尚資氏による「世界のビジネスエリートはなぜ、必死に教養を学ぶのか?」から「銀座クラブママはお見通し『本当の教養人』と『教養バカ』の違い」まで、経営者・識者総登場の大特集になりました。ぜひお手にとってご覧ください。


