「嫌いな人」を自覚すれば、「好きな人」を大事にできる

「切ってもいい人間関係もある」という前提で、自分が人を好きになるトリガーと、嫌いになるトリガーを考えてみてください。

「好き」の発見に役立つ関心ごとの因数分解(イラストレーション=中尾仁士)

たとえば、僕にとって、居心地がいいのは、こんな人です。

●雰囲気や表情が明るい
●話をちゃんと聞いてくれる
●事情や都合、引用ばかりでなく、自分の考えを話してくれる

逆に苦手なのは、こんな人。

●威圧することで、相手をコントロールしようとする
●自分の楽しみや笑いのために、人を利用しようとする
●相手によって極端に態度が変わる

このように好き嫌いを自覚し、人間関係が狭まるのも、悪いことではありません。

むしろ、人間関係が少し整理されることで、ぐんと人付き合いがラクになり、ラクになった分、好きな人をいっそう大事にできる。

大事にできれば、いい化学反応も起こりやすくなるし、「はじめまして」の人に対しても「好き、嫌い」のセンサーが働きやすくなるでしょう。

つまりは、人間関係を整理する、狭めるというのも、仕組み的に行なえば「人間関係がうまくいくきっかけ」になるということ。自分の今後の人生のために、「嫌な人とは、なるべく付き合わない」というくらいの図太さも、あっていいと思うのです。

余裕ができたら「憧れ」に近づくことも

内向的だからこそ、仕組みをつくって人付き合いがうまく回るようにする。

そんな僕でも、ときにはちょっと強度を上げて「憧れている人」に会えるように動くことがあります。

仕組みによって、普段の人付き合いが比較的ラクにできているから、そこで生まれた余裕で少し強度の高いこともできるのです。

思うに、僕らは無意識のうちに、人間に「階層」のようなものを設けてしまいがちです。しかも多くの場合、自分を卑下しながら、人と比べてはいないでしょうか。

「あの人と自分とではレベルが違いすぎるから、会えるわけがない」

こんなふうに、最初からおそれをなして消極的になってしまうのです。

でも、その多くは、もしかしたら思い込みかもしれない。そんな思い込みで人間関係が広がる可能性を閉ざしてしまうなんて、やっぱりもったいない話だと思います。

実際、僕も「あの人すごい、会ってみたいな」という人に思い切ってアプローチしてみたら、意外にも気さくな人柄で、すぐに意気投合できたという経験があります。

たまに勇気を出してアプローチしてみるだけなので、それほど数は多くありません。それでも、「ゼロ」とは大違い。つくづく、「あのとき勇気を出して連絡してみてよかった」と思います。