同意書のサイン後、心変わりしたら……

谷弁護士が特に問題視しているのは、医師による選択肢の提示だ。

※写真はイメージです(写真=iStock.com/BrianAJackson)

「透析で生き永らえることができる患者は、治療継続が唯一の正解。自己決定権を重視するとしても、医師から死の選択肢を示すのはおかしい。うつ病の患者に『自殺の選択肢もあります』というようなもので、倫理に反します」

そもそも本当に患者が自己決定したのかという点も疑問が残る。透析中止について病院側が説明した後、患者は同意書にサインしたが、透析中止後に再開を訴えた。

「患者がどこまで理解していたのかわからないし、まわりに忖度してサインをした可能性もあります。仮に本人が納得していたとしても、人の意思は揺れ動くもの。治療を中止して死が迫ったときの声こそが本音ではないか」

病院の対応の是非はこれから行政や司法が判断していくが、気になるのは、同じことが自分の家族に起きたときの対処法である。

「生き永らえられる人が透析中止に同意するのは、病気で心が弱っているからでしょう。まずは1人で病院に行かせないこと。患者会に入ったり、癌患者なら精神腫瘍科がある病院を選んだりするのもいい。患者の心のケアを最優先にしてください」

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(答えていただいた人=弁護士 谷 直樹 図版作成=大橋昭一 写真=iStock.com)