経済界は日韓関係の悪化に危機感を強めている

条例案は、わが国製品への不買運動とみなすことができる。今後も韓国の政治家が同様の発想を重視し続ける場合、わが国の嫌韓感情は追加的に高まらざるを得ない。その状況は、わが国における韓国製品への不買運動に波及しかねない。それは、韓国の輸出をさらに減少させるだろう。

韓国の大手企業や大手金融機関では、海外投資家の持ち株比率が高い。経済のリスクが高まった際、海外投資家は保有株を売却し、資金が海外に流出するだろう。それは、韓国経済の下方リスクを追加的に高める要因だ。

韓国にとって、わが国との前向きかつ持続的な関係を構築することは、国力引き上げに欠かせないといえる。それは、朝鮮半島情勢の安定化にも無視できない影響を与える。韓国の経済界などがわが国との関係を重視しているのはこのためだ。

出世コースだった「ジャパン・スクール」の凋落が著しい

韓国国内では、わが国に対する考え方が二分されている。今後のポイントは、文大統領がわが国との関係を修復し、真に未来志向の日韓関係の整備に取り組むことができるか否かだ。

冷静に考えると、文大統領がわが国との関係を修復することは、かなり難しいだろう。まず、文氏が有権者の支持を確保するには、対日強硬姿勢をとる以外、効果の見込める方策が見当たらない。4月に入り、元徴用工らの訴訟を支援する韓国の弁護団は、日本企業を相手取った追加訴訟を起こした。反日感情はさらに強くなっている。文大統領は世論に配慮するあまり、日韓請求権協定に基づいた対応を求めるわが国の要請にこたえることができない。

実務面でも、文氏が対日関係の修復を目指すことは難しくなっている。韓国外交部(外務省に相当)内では、対日交渉を担い、出世コースと見られてきた「ジャパン・スクール」の凋落が著しい。文氏は北朝鮮との融和と対日強硬姿勢を優先し、主要ポストから知日派の人材を外してしまった。