2018年は♯MeToo運動が日本でも広がった。抑圧されてきた声を上げやすくなった。この日本社会で今、企業が考えるべき人への気持ちの伝え方を考えた。

スマホ社会で「証拠」を集めやすくなった

ここ数年、ハラスメントに関する裁判が目立って増えています。これは、女性の社会進出に加え、スマホ社会の影響が大きいでしょう。スマホでハラスメントを撮影・録音しやすくなり、証拠を集めやすくなったのです。

※写真はイメージです(写真=iStock.com/XiXinXing)

発生原因が最も多いのはちょっとした言い方の違いです。自分の中ではセーフな言動が、女性や部下にとってはアウトというケースは少なくない。

パワハラについては、何といっても日本が経済成長しなくなったことが極めて大きい要因だと思っています。昔は会社に30年いたら部長まで上げてくれたものですよ。今、出来の悪い社員は絶対に上がりません。

現に上が多くて下が少ない社会となっており、上の世代の方は、上に希少価値があるプラス成長時代で育ったので、上に多少の問題があっても従ったのですけど、今その人たちが上になったときに、下が少ないゼロ成長時代なので、圧迫感が大きいのです。パワハラ、セクハラは高度経済成長とバブル景気の影響が非常に大きいと感じております。

こうした世代間ギャップはピリオドエフェクトによるところが大きいです。これは、感受性が強い13~20歳の経験で自分の基本的な価値観や意思決定が定まってしまう現象のことです。なので、この現状はある意味仕方のないことなのでしょう。

弁護士の費用が下がったことも背景に

それからもう1つ、セクハラやパワハラ問題が表面化している理由として弁護士の費用が下がってきていることも挙げられます。弁護士が増え、この手の案件を引き受ける方が増えたのです。

今法律相談に行けば、一応親身にやってくれるわけです。言ってくる着手金、昔は50万~100万円とかだったのが、10万~20万円くらいになり、それなら勝てるか勝てないかは別にして、ちょっとやってみようかという方が出ていると思います。

では、万が一自分がセクハラやパワハラで糾弾されたら、どう対処すべきか。

まず謝罪の仕方。メールで謝るのはNGです。言葉尻だけ捉えられてしまいます。口頭主義・直接主義が原則の裁判と同じで、誠意ある意思を自分の言葉で直接伝えないと告訴される可能性大です。

また、不倫関係だった女性部下から破局後にセクハラと訴えられるケースも結構ある。これには訴訟リスクの観点から、対処法があります。