関東版の「住みたい街ランキング」で、横浜が2年連続1位となった。なぜ人気なのか。まち探訪家の鳴海行人氏は「抜群のアクセス性、駅周辺の商業施設の集積、ブランドイメージの高さが背景にある」と指摘する――。

「住みたい街」ランキングで2年連続1位

※写真はイメージです(写真=iStock.com/ngkaki)

大手不動産総合情報サイト「SUUMO」を運営するリクルート住まいカンパニーが2月28日に「SUUMO住みたい街ランキング2019年関東版」を発表した。そこで2年連続関東エリア1位になったのが「横浜」だ。2012年から8年連続5位以内にランクインしている。なぜ人気なのか。

同じく8年連続5位以内にランクインしているのが吉祥寺だ。この2つのまちに共通することは、「交通の利便性」「買い物の利便性」「おしゃれなイメージ」だ。この3つがどのように形成されてきたのかを探りつつ、横浜が人気のまちになった理由を考えていきたい。

第二次世界大戦前から強化されてきたターミナル機能

「交通の利便性の高さ」については、横浜駅にはJRと私鉄、地下鉄で併せて6社局の10路線が乗り入れていることが大きい。30分以内で東京・品川・渋谷といった東京都心のターミナルにアクセスできる。それと同時にみなとみらい・山手・鎌倉といった観光地や羽田空港にもアクセスしやすい。「通勤も遠くなく、レジャーの行き先にも困らない」という絶好の立地であると言えそうだ。

こうした立地は関東大震災後に生まれたものだ。明治時代に日本で最初の鉄道が開通した際の初代横浜駅は現在の桜木町駅に近い位置にあった。その後東海道本線が西に延伸するにつれ、初代横浜駅の場所では不便だということになり、現在の高島町駅近くに二代目の横浜駅が作られた。しかし、関東大震災で駅舎が被災したことなどから、1928年に現在の横浜駅の位置に移された。

駅開業当初は国鉄と東急電鉄のみが乗り入れていた。その後京急電鉄が1930年に、相模鉄道(神中鉄道)が1933年に横浜駅に乗り入れ、戦後地下鉄の開通などもあり、横浜駅には少しずつターミナルとしての機能が強化されてきた。

第二次世界大戦前からアクセスに便利なまちとしての下地はそろっていたのである。

そして、第二次世界大戦後には1976年に横浜市営地下鉄が開業、平成に入ってから2001年にはJR湘南新宿ラインにより横浜と新宿・池袋が直結、2004年に横浜高速鉄道みなとみらい線が開通し、ますます利便性を高めた。