「多くの人が支持している」から、さらに人が集まる
多くの人が支持しているということは、私たちにとって見逃せない有益な情報だ。「あれだけの人が支持しているのだから、行って“はずれ”はない」との連想がたやすく働く。ニュースなどでも、大勢の人がTDRに行く光景が映し出される。その結果、群集につられるようにして「今度の休暇はディズニーランドに行ってみよう」と何気なく思い、チケットを買う人が増えてきた。
まさに、大勢の人だかりがさらなる人を呼ぶことで、オリエンタルランドは収益を獲得してきた。それは、最強の宣伝手段といってよいだろう。
集客力を高めるために、オリエンタルランドは徹底してテーマパークの“価値”を磨き、高めてきた。その取り組みが人々から支持され、チケット価格の引き上げが可能となった。集客力の強化とチケット価格の引き上げが、これまでの業績拡大を支えてきた。
TDRが「食べ物の持ち込み禁止」を徹底するワケ
わかりやすく言えば、オリエンタルランドは、人々を日常から切り離し、ディズニーの世界を堪能できるよう徹底してきたのである。端的な例が、食べ物の持ち込み禁止だ。原則として、TDRには弁当が持ち込めない。このことに不満を抱く入園者は少なくない。高い入園料を払っているのに、弁当ぐらい持参して出費を抑えたいというのが本音だろう。
往々にして、消費者からの要望や不満に直面すると、企業はそれを聞き入れてしまう。一般的には、それが顧客の満足度向上につながると判断されがちだ。その結果、自社の価値観が揺らいでしまい、テーマパークの個性がぼやけてしまう。要は、テーマパークの“売り”が何か、よくわからなくなってしまうのだ。
TDRに行くことは、頭の先から足の先までディズニーの世界にどっぷりとつかることでなければならない。弁当の持ち込みは、ディズニーの世界と日常の生活を混在させる。それでは入園者が鮮烈な印象、感動、従来よりも大きな満足感を得ることは難しくなる。
オリエンタルランドは、常に、入園者に鮮烈な印象と満足感を与えることにコミットしてきた。新しいディズニーキャラクターを取り入れたアトラクションの設置やパレードの運営はその具体例だ。