保険料は年金から天引き。
扶養家族になっている人も保険料を負担することに
2008年4月1日から、高齢者の公的医療制度が変更される。これまで75歳以上の人は、国民健康保険や健康保険組合などに加入して「老人保健制度」で医療を受けていたが、4月以降は新たに独立して運営される「後期高齢者医療制度」に移行する。これで大きく変わるのが保険料負担。
年金生活の人や自営業の人で国民健康保険に加入していた人や、サラリーマンで会社の健康保険に加入していた人は、後期高齢者医療制度の保険料に切り替わってこちらの保険料を払うことになる。そして、これまでは子どもなどの扶養家族として健康保険料を免除されていた人も、自分で保険料を払わなければならなくなるのだ。
新しい制度の健康保険料の額は、所得に応じた「所得割」と被保険者が同じ額を負担する「被保険者均等割」を足した額となる。この保険料は、後期高齢者医療制度を運営する「後期高齢者医療広域連合」という地方公共団体が、それぞれの都道府県の医療の給付状況に応じて2年ごとに決定する。そのため、都道府県によって若干違いが出てくるようだ。
ただし、扶養家族で今まで健康保険料を払っていなかった人には当面、経過措置がある。08年4月から9月までは保険料は無料。08年10月から09年3月までは均等割を9割軽減した月額約400円(全国平均値、以下同)、その後1年間が均等割の半額の月額約1800円、10年4月以降は経過措置がなくなって所得割も含めた月額約6000円(平均的な老齢厚生年金をもらっている人の場合)となる予定だ。
保険料は、原則として年金から差し引かれる。少ない年金から引かれるのかと反発もあるだろうが、これを払っておかないと、健康保険の制度が使えない。老後の必要経費といえるだろう。
4月以降の75歳以上の人の病院の窓口などでの医療費負担は、1割(現役並み所得者は3割)と現行の老人保健制度のまま。しかし、医療保険の患者負担と介護保険の自己負担の両方がかかっている場合に負担を軽減する「高額医療・高額介護合算制度」が新たに設けられた。
でも、家族の扶養から外れても、現役世代の保険料が下がるわけではない。健康保険料は所得に一定率をかけたものとされているため、扶養家族の数によって変化しないのだ。だから4月からは単純に、後期高齢者の負担が増加するだけということになる。